内容説明
テレビ朝日「ニュースステーション」の「所沢ダイオキシン報道」ぐらい、問題の本質からずれて批判・バッシングされた報道は近年ないだろう。現実は危険きわまりない汚染状況にあり、原因も明らかであるにもかかわらず、経済的な被害に怒る農民の不満や批判の矛先をテレビの報道自体に向け、マスコミもこれを追随した。本来、野放しの焼却施設が撤去されるべきなのに、おきまりの「安全宣言」によって問題がうやむやにされた結果、汚染はいまだに解消されていない。しかも、ダイオキシン報道自体も萎縮してしまった。本書はこうした問題点を検証する。
目次
第1章 野菜騒動勃発(農家の直訴;叩かれた番組)
第2章 激論「テレビ朝日対日本テレビ」(テレビ朝日の記者の番組回想;日本テレビ記者の断言「ホウレンソウはシロ」;テレビ朝日の取材禁止令と日本テレビの受け売り)
第3章 信じていいのか安全宣言(安全宣言への疑問;信憑性の乏しい行政の測定値;安全宣言後も続く住民運動)
第4章 抜本的な対策実現を阻む人たち(野菜騒動の“火消し役”の中西準子教授;受け売り、デッチ上げライターの日垣隆氏)
終章 調査報道の“死”と亡霊たちの復活の中で
著者等紹介
横田一[ヨコタハジメ]
1957年山口県生まれ。東京工業大学卒。雑誌の編集を手伝いながら、環境問題などを取材。1988年、奄美大島字検村の入植グループを右翼が襲った事件を描いた「漂流者たちの楽園」で、90年ノンフィクション朝日ジャーナル大賞受賞。現在のテーマは、小選挙区制の見直し、公共事業の削減、テレビ報道である。主なリポートや著書に、「政治改革の仮面を剥ぐ」(月刊『金曜日』93年10月)、「小沢王国・岩手を歩く」(『世界』94年2月)「農水省構造改善局の研究」(『世界』2000年6月)、『埼玉ゼネコン県政の病巣を抉る』(週刊『金曜日』97年1月)、『政治が歪める公共事業』(共著)、『どうする旧国鉄債務』、『ダイオキシン汚染地帯』(以上、緑風出版)、『テレビと政治』(すずさわ書店)などがある
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sntaito