出版社内容情報
国境を超えて共鳴し、つながりあう「拡散」現象の運動史・思想史からの検証。19世紀末から20世紀後半のアジア・アメリカ・ヨーロッパで起きた、拡散に関わる七つの事例をもとに、新たに生み出され続ける社会運動と思想の歴史をダイナミックに描き出す。
内容説明
国境を越えて共鳴し、つながりあう「拡散」現象の運動史・思想史からの検証。19世紀末から20世紀後半のアジア・アメリカ・ヨーロッパで起きた、拡散に関わる七つの事例をもとに、新たに生み出され続ける社会運動と思想の歴史をダイナミックに描き出す。
目次
序章 社会運動の拡散と創造
第1部 一九世紀末から二〇世紀半ばまで(エマ・ゴールドマンの思想の国境を越えた拡散;「マフノ後のマフノ運動」の拡散過程におけるアナーキストの役割;全国水平社の創立と「人間は尊敬するべきものだ」という思想―クロポトキン「相互扶助論」の受容とゴーリキー『どん底』解釈に着目して;中国アナキストによる農村教育運動の展開―モダン・スクールとの共鳴)
第2部 二〇世紀後半から現代まで(一九五六年のハンガリー革命後の難民学生による社会運動;反核運動の拡散―広島と世界連邦運動;FTA:反戦ショー巡業という社会運動の交錯)
感想・レビュー
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rune
3
19c末−20cにおける社会運動・思想のグローバルな拡散を主題とした論集。本書において「拡散」とは特殊な意味を込めて設定された術語である。すなわち、ある運動・思想に関する情報が国境を越えてひろめ散らされた結果、その受信先において、似通った運動・思想が発生したり、大きく姿を変えた運動・思想が創造されたりする一連の現象を指す。こうした研究の背景には、アラブの春からスペインの15ーM運動、さらには「ウォール街を占拠せよ!」へと至る「広場の占拠」運動をはじめとして、「拡散」の事例が頻発する現代の状況がある。2023/03/12