出版社内容情報
鋼の指を持つ男の忌まわしき物語(ヒストリー)
口吻をめぐる興奮の奇譚
メリエイガー伯父の遺書をめぐる魅惑の難題
瓢箪から出た駒をめぐる途方もなき怪談
面皮を剥ぐ婆(ジョーカー)にまつわる理屈無視の逸話
不和の種をめぐる卑しき泣き笑い劇
逃げる足音が絡んだ恨み話
嗜好の問題をめぐる酒飲み相手の一件
竜頭に関する学術探究譚
盗まれた胃袋をめぐる釣り人の一口噺
顔なき男をめぐる解けない謎
訳者あとがき
解説 塚田よしと(クラシック・ミステリ愛好家)
著者等紹介
セイヤーズ,ドロシー・L.[セイヤーズ,ドロシーL.] [Sayers,Dorothy L.]
1893‐1957。英国オックスフォード生まれ。コピーライターの傍ら執筆活動を行い、1923年に「誰の死体?」を発表。ミステリ作家親睦団体“ディテクション・クラブ”の会長も務めた
井伊順彦[イイノブヒコ]
早稲田大学大学院博士前期課程(英文学専攻)修了。英文学者。英国のトマス・ハーディ協会、ジョウゼフ・コンラッド協会、バーバラ・ピム協会の各会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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翠埜もぐら
18
ピーター卿若かりし頃の短編集。短編だけあって重苦しい背景や複雑な人間関係はあまりなく、プロットなんて二の次でかっこいいピーター卿が楽しめました。甥っ子のセントジョージ子爵が出てくる話は初めて読みました。子供に懐かれるウムジィ卿って新鮮だわ。訳者の井伊順彦氏は過去のセイヤーズ作品の訳に色々不満があったようで今作は渾身のできと自負していらっしゃるようで、確かに読みやすい文章でありながら軽すぎず、主人公が「英国紳士」らしかったです。しかしバンターさんがウムジィ卿に呼びかける時は「殿」ではなく「御前」がいいなぁ。2022/03/07
豆茶
9
ピーター・ウィムジー卿シリーズ短編集。今まで読んだ作品と、若干雰囲気が(タイトルからして)違うように感じたのは、新訳だったからか…。(11編のうち、4編もある)遺産相続の話が面白い。いかに奇をてらった底意地の悪い遺書を書くか競っているのか、イギリス人は。執事のバンターさん推しとしては、出番が少なめなのがちと物足りませんが、それでも、その有能ぶりは十分発揮されておりましたよ。2022/01/31
nightowl
5
キャラクターで楽しむにはインテリ感が邪魔をするし、純然たるミステリとして読むには詰めが甘い。シリーズものの場合、短編のボリュームよりも悠々とした長編の方がセイヤーズには向いていたと改めて思う。リドルストーリー風な仕上がりの「顔なき男をめぐる解けない謎」がベスト。次もあるらしいので、ノンシリーズ短編に期待。2022/04/10
餅屋
5
長編読者なら楽しめるファンブック的第一短編集、妖精時代ということで飄々と!「御前」に一票。お気に入りに寸評■「瓢箪から出た駒をめぐる途方もなき怪談」まさにスピード、バイク好きね「面皮を剥ぐ婆にまつわる理屈無視の逸話」いつものお仲間「不和の種をめぐる卑しき泣き笑い劇」片田舎の怪奇色ある中編で雰囲気系「嗜好の問題をめぐる酒飲み相手の一件」節が全開でニヤニヤ「竜頭に関する学術探求譚」良い関係を築いているようで、甥っ子の成長が楽しみ「顔なき男をめぐる解けない謎」これがベストか「アリババの呪文」未収録(1928年)2022/04/02
はる
0
、2022/02/26