内容説明
風景画ではなく歴史画の巨匠として賞賛に浴したい。即存の画家とパトロンの関係も打破したい。欧米における最新のローザ研究を援用しつつ、17世紀イタリア人芸術家の“近代性”を掘り起こす。
目次
序章
ローザと二つの伝説
ローマのローザ
フィレンツェからの招聘
ふたたびローマへ
風景画家ローザ
版画家ローザ
ローザと諷刺詩
友人への手紙
マカブルな世界へ
終章
著者等紹介
小針由紀隆[コハリユキタカ]
1954年東京生まれ。慶応義塾大学大学院文学研究科修士課程、フィレンツェ大学でイタリア美術史を学ぶ。静岡県立美術館学芸部長を経て、静岡文化芸術大学文化政策学部教授(~2020年)。国立西洋美術館客員研究員のほか、静岡大学、慶應義塾大学などで講師を務める。専門は17世紀から19世紀前半のイタリアにおける風景画に関する諸問題(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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志村真幸
1
サルヴァトール・ローザは、17世紀のイタリア画壇で風景画の大成者として活躍した画家で、18世紀にはグランド・ツアーなどを通じてイギリスにも大きな影響を与えたことで知られる。 本書は、ローザの生涯を再点検するとともに、その書簡や版画、諷刺詩まで視野を広げ、ローザのさまざまな側面がわかるようになっている。 とくに当時の閉鎖的で旧弊な画壇に、いかに風穴を開けようとしたかが詳細に語られており、「山賊」だったという伝説すらあるローザの反逆児っぷりを、親しみをもって読むことができた。 2021/11/27