内容説明
崇徳院の配流、平家一族の栄華と滅亡、頼朝の奥州攻めと義経の死…。奥州藤原氏とのかかわりを軸に、史実を踏まえつつ西行の生涯と生きた時代を情感豊かに描く歴史小説。
著者等紹介
堀江朋子[ホリエトモコ]
1940年東京生まれ。日本文藝家協会会員、同人誌「文芸復興」代表、北上市しらゆり大使、北上市口内町ふるさと大使。1995年頃から執筆活動を始め、現在に至る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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かわかみ
3
副題に「崇徳院・源義経・奥州藤原氏〜滅びし者へ」とあるように西行を主人公としながらも滅んでいった者たちへの哀惜を込めて乱世を描いた歴史小説。院政末期から平氏政権の興亡、さらに鎌倉政権の興隆と奥州藤原氏の滅亡までが描かれている。作者は末法の世とも表現しているが西行が生きたのは政争と戦争に明け暮れた無常と非情の時代だった。西行が崇徳院の慰霊のために讃岐に渡った情景、平泉で藤原秀衡と語り合った情景、など印象深い。権力争いは人の世の理だが、作者はこれに自然、和歌、仏法を対置して人の倫を問うている。2022/07/01