内容説明
ミステリドラマの生放送中、現実でも殺人事件が…ジェフリー・ブラックバーン、暗闇の密室殺人に挑む!マックス・アフォードの最高傑作と評される長編第三作を初邦訳!
著者等紹介
アフォード,マックス[アフォード,マックス] [Afford,Max]
1906‐1954。本名マルコム・R・アフォード。オーストラリア、南オーストラリア州アデレード生まれ。ジャーナリストを経て脚本家に転身し、ラジオドラマや舞台劇の台本を数多く手がける。1936年、オーストラリア国営放送ラジオ局の専属ライターとなり、イギリスの出版社から『百年祭の殺人』を刊行。以後は脚本家だけでなく作家としても活躍
安達眞弓[アダチマユミ]
宮城県生まれ。マルタの鷹協会会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
スパシーバ@日日是決戦
115
A (2016年)<1938年> 「犯人はぬかりなく先手を打った」「犯人はあらゆる法則を踏まえて慎重に考え、比較検討し、解釈を試みたというのに、あろうことか可能性を検討しなかったのだ」。密室状態のスタジオからのラジオドラマの生放送中に亡くなった女優の死因は、心臓麻痺によるものではないことが判明するが、外傷もなく毒物も検出されず..。殺害方法はさておき久々の大当たり。今まで未訳だったのが信じられない! 今年の「本格ミステリベスト10」(このミスではなく)、で3位以内にランクインすると断言しちゃいましょう。2016/11/12
星落秋風五丈原
35
ルームシェア&探偵コンビ、ロンドンとくればあの有名な二人組(カップルか?)が想起されるが今回は親子ほどの差があるため本家本元の彼等のような喧嘩っぽいやり取りには発展しない。とはいえ、記念式典への招待状を貰って「公務についているからそういう催しにはいけない。ましてやジェフリ―が偏見を持ってて」と行きたい気満々のリードと、そんな彼の本心を察して「今回は‘ラジオなんてつまんない’の主義を曲げて行ってもいいですよ」と助け舟を出すジェフリーというシーンには、年齢が逆転した感が。2017/01/08
飛鳥栄司@がんサバイバー
27
多重解決の外し方が豪快で好き。全員集めて、自信満々で「これが真相ですよ!」って言い切った後、間髪入れずに、関係者から大外れのレッテルを貼られる探偵は他に類を見ない(と思う)。密室状態を作るものの密室の謎自体は華麗にスルーして、別のトリックで決着させるところや、ラジオドラマが舞台ではあるが、そのシュチエーションに大きなこだわりはなさそうで、殺人事件との関連性や必然性が比較的薄いところなど、なんとアフォードらしいではないか。それでも抜かりなく序盤から張られた伏線が最後まで生きていたりと上等なミステリである。2016/10/01
cinos
18
『放送中の死』もラジオ放送中の殺人だったので似てる気がしたが、殺人トリックがすごい。途中の探偵の推理とそこからの流れに驚愕した。2018/07/13
やっす
14
アフォードの長編三作目にして、最高傑作との呼び声も高い作品が遂に邦訳。まずは読めた事に感謝。暗闇の中鍵が掛かったスタジオ内での不可思議な死というド派手な謎を呈示しながらも力点はそこに置かず、あくまでフーダニットを指向する相変わらずの潔さ。犯人の意外性や、シンプルだがキレのあるロジックなどは本作に於いても顕在。ただ、『百年祭~』の骨太な解決編と比べて、今回はあっさりしすぎていて物足りなく感じてしまうのが残念なところ。最高傑作と呼ぶにはちょっと苦しいが、黄金期本格推理の愉しさを教えてくれる佳作だと思います。2016/06/13