内容説明
百年目の真実、テクストが削除されていた!現在の単行本が「都新聞」(一九一三~二一)連載時の三分の二に縮められた“ダイジェスト版”であることを発見した筆者は、完全版にのっとった新しい「大菩薩峠」論を提唱する。
目次
第1章 「大菩薩峠」を都新聞で読む(第一回連載「大菩薩峠」(大正二年九月十二日~大正三年九月九日)
第二回連載「大菩薩峠(続)」(大正三年八月二〇日~十二月五日)
第三回連載「龍神」(大正四年四月七日~七月二十三日)
第四回連載「間の山」(大正六年十月二十五日~十二月三十日)
第五回連載「大菩薩峠(第五篇)」(大正七年一月一日~大正八年十二月十七日)
第六回連載「大菩薩峠(第六篇)」(大正十年一月一日~十月十七日))
第2章 「大菩薩峠」とはいかなる小説なのか(「大菩薩峠」のテーマの変遷;「大菩薩峠」があらわす思想)
第3章 「大菩薩峠」はなぜ大幅に削除されたのか(削除の割合とその経緯;削除による物語の改変)
資料編 「大菩薩峠」書き換え一覧
著者等紹介
伊東祐吏[イトウユウジ]
1974年、東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業。名古屋大学大学院文学研究科博士後期課程修了。専攻、日本思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yamakujira
0
ちくま文庫で読破した「大菩薩峠」だけど 、こんなに原文から削除されている部分があるなんて驚くばかり。読み始めて「どうも雑だなぁ」と思ったのはこういうことだったのか。前半より後半の方が早く読めたのも、もちろん文章への慣れもあるにせよ、改変の多寡もあったのかなぁ。昔の大衆小説なんてこんなものか、と馬鹿にした不明を恥じなければ。それにしても「こんなはずはない」と連載時の原点にあたって確かめるなんて、その着眼点と労力に頭が下がる。さらに、その削除編集が介山自身によるものなんて、二度びっくり。 (★★★☆☆)2013/09/08
Stevie G
0
これは面白い。よくぞ調べていただけました。確かに最初の頃、話がポンポン飛ぶなとは思いましたが、こういう事だったのですね。この最初の6巻が完全版で復刻することを待ちたいです。この本で分析されているのは全20巻のうち最初の6巻。逆にその後は省略されていないと言う事なのでしょうか。確かに最初の6巻でレギュラーメンバーはかなり登場してしまっていて、主役級でまだ出てきていないのはお雪ちゃんと田山白雲くらいですからね。いずれにせよこの本はある程度原作を読んだ者でないとわからないので、ちゃんと売れるのかどうか心配です。2013/07/25