内容説明
自動車好きの久米正雄、ラジオにハマる長田幹彦、鉄道を見る夏目漱石…。急速に変化していく“趣味”は小説や随筆にどう描かれたのか。大正・昭和初期の作家の文章から“趣味”の近代化をたどる。
目次
1 旅は世につれ(鉄道のある散文風景―大正期の場合;旅する気持ちはどこにある?―関東大震災の頃の鉄道旅行 ほか)
2 自動車、飛行機、そして空の彼方へ(疾走する自動車―ビークルとしてのメディア;大空をかけめぐる飛行機―夢と科学の最先端 ほか)
3 メディアの機械化(蓄音機とレコードをめぐる愛の形―趣味の音楽風景;ラジオをめぐる作家たち―ラジオ黎明期の場合 ほか)
4 自然と身体をめぐる「科学」(天気の行方―空を見上げる作家たち;医学は人を救えるか―「科学」が身体とぶつかるとき ほか)
著者等紹介
湯浅篤志[ユアサアツシ]
1958年、群馬県生まれ。成城大学大学院文学研究科博士前期課程修了。近代文学専攻。予備校講師。日本近代文学会、日本文学協会会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
春風
1
スキー、自動車、飛行機、ラジオ、テルミン、ロボット、疑似科学などの視点から眺めた大正文学案内。中でも忘れられた流行作家長田幹彦の紹介が楽しい。2010/12/29
kinaba
0
その当時の新技術…電車やスキーやラジオを、その当時の作家がどう捉えて書き残したか、という紹介。そりゃそうだよな、と思わなかった自分の不明を恥じたいところなのですが、どれも、今自分が感じるものとまったく変わらないなあ、と。考えてみればインターネットでも携帯電話でも、生まれたその最初から急速に今と同じあり方で生活のなかに食い込んでいました。逆にそういう、過渡期の奇妙な受容などがなくて、あっという間に当たり前になるものこそが広く広まるのだ、ということか。2012/05/19
bastole
0
長田幹彦を読んでみたくなる。2011/11/03