内容説明
貴族でありながら、貧民街イーストエンドをこよなく愛するトフ氏は、数々の凶悪犯罪を解決してきた。ある夜、若く魅力的な女性アンシアとレストランで食事を楽しんでいたトフ氏の前に、雌豹に似た美しさをもつ、黒いドレスを着た殺し屋アーマが現れる。トフとアーマ―ロンドンの闇に浮かび上がる二人の因縁。J・J・マリック名義のギデオン警視シリーズで知られるクリーシーのもうひとつの代表作「トフ・シリーズ」初登場。
著者等紹介
クリーシー,ジョン[クリーシー,ジョン][Creasey,John]
1908~1973。英国南東部サリー州の生まれ。32年、Seven Times Sevenでミステリ作家として、デビュー。53年、英国推理作家協会(CWA)の設立に関わり、57~60年アメリカ探偵作家クラブ(MWA)の幹事、66、67年、同会長を務めた。62年、『ギデオンと放火魔』(J・J・マリック名義)でMWA最優秀長編賞を受賞する。69年、同グランドマスター賞を受賞した。28のペンネームを用いて、562冊の本を執筆。その中にはミステリやスパイものばかりでなく、ウエスタン小説や、女性作家名でのロマンス小説などもある
田中孜[タナカツトム]
1941年生まれ。早稲田大学文学部卒
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感想・レビュー
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夢追人009
291
2004年11月刊行開始の論創海外ミステリの記念すべき1冊目ですね。このシリーズはB級作品も数多いですが逆に過剰に期待を持たずに気軽に読めるのがいいですね。1940年刊行のシリーズ5作目という事ですが少しも戸惑う事なく自然に物語に入って行けますね。トフ氏の意味は「お洒落紳士」で、主人公のリチャード・ローリソン卿は貴族探偵でありながら、貧民街イーストエンドと住人達をこよなく愛して本音では遊び暮らす上流の金持ち達を軽蔑しているのですね。裁きの場面はありませんが彼はイギリスの「遠山の金さん」と呼んでいいですね。2021/09/02
Inzaghico (Etsuko Oshita)
5
現在、200作品を突破した「論創海外ミステリ」シリーズの第一作。 謎解きというよりは、好敵手である男女が、力の限りを尽くして死闘に臨むお話。伊達男トフ氏のキャラクターがあまり浮かび上がってこないのがもったいないなあ。主人と従者というパターンは、イギリスの推理小説に多い。セイヤーズのウィムジー卿とバンターしかり、アリンガムのアルバート・キャンピオンとラッグしかり。このコンビがいいかどうかが、けっこう物語の出来を大きく左右すると勝手に思っている。トフ氏と使用人のジョリーは、なかなかいい。 2018/09/04
J・P・フリーマン
3
探偵が犯罪組織の陰謀に立ち向かうスリラーかと思いきや……いやはや、そう落としどころをつけてきましたか。ギャングの親玉の前にも軽快に現れるトフ氏は見ていて面白い。2015/12/23
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