アピチャッポン・ウィーラセタクン―光と記憶のアーティスト

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  • サイズ A5判/ページ数 311,/高さ 22cm
  • 商品コード 9784845916177
  • NDC分類 778.223
  • Cコード C0074

出版社内容情報

2000年以降の「映画」を動かした鬼才。
アジア、いや世界が誇るべき映像の魔術師を、各分野の識者が徹底的に解読!
映画論/アート/人類学を軸に、その全貌に迫る!!

映画ファンや映画研究者のみならず、全世界を注目させ続けているアピチャッポン・ウィーラセタクン。本年(2016年)は、全劇場長編作の特集上映が実施され、3月には新作『光りの墓』公開、さいたまトリエンナーレへの参加、そして12月には東京都写真美術館での個展が開催されるなど、各所から注目を集めている。

本書では、映画論に加え、アートと文化人類学を軸に、英語・タイ語論考の翻訳も交えながら、アジアのみならず世界の映画を代表する作家を多角的に解析。

精霊/幽霊や王室、または固有の民族などのタイ文化に着目する文化人類学の観点や、映画と並行して創作しているヴィデオ・インスタレーションを中心としたアピチャッポン作品のアート的側面を論じつつ、映画作品の特定のシーンを分析することで、彼の作品世界で何を描こうとしているのか、その全貌を明らかにする。

全長編作品を語る本人のインタビューと詳細な作品ガイドも収録!


■ アピチャッポン・ウィーラセタクン
1970年タイ・バンコクに生まれ、タイ東北部イサーン地方、コーンケンで育つ。コーンケン大学で建築を学んだ後、シカゴ美術館付属シカゴ美術学校で映画制作修士を取得。 1993年に短編映画、ショート・ヴィデオの制作を開始し、2000年に初の長編映画を制作。1999年に「Kick the Machine Films」を設立。既存の映画システムに属さず、実験的でインディペンデントな映画制作を行っている。長編映画『ブンミおじさんの森』で2010年カン ヌ国際映画祭最高賞(パルムドール)受賞。映画監督として活躍する一方、1998年以降、現代美術作家として映像インスタレーションを中心に旺盛な活動を行っている。2009年の大規模な映像インスタレーション「プリミティブ」は、ドイツ・ミュンヘンのハウス・デア・クンストにはじまり、数多くの美術館を巡回。2012年にチャイシリと協働でドクメンタ13に出展、2013年に参加したシャルジャ・ビエンナーレではチャイシリとの協働作品が金賞を受賞。同年に福岡アジア文化賞を受賞している。2015年は初のパフォーマンス作品《Fever Room》を韓国・光州のアジアン・アート・シアターで発表し、各都市で公演が続いている。2016年にチェンマイに開館したMIIAM現代美術館で、タイ初となる大規模個展を開催した。チェンマイ在住。
<主なフィルモグラフィ>
真昼の不思議な物体(2000)、ブリスフリー・ユアーズ(2002)、アイアン・プッシーの大冒険(2003)、トロピカル・マラディ(2004)、世紀の光(2006)、ブンミおじさんの森(2010)、メコンホテル(2012)、光りの墓(2015)

■まえがき ──金子遊

■Interview
アピチャッポン、全長編映画を語る

■Art
ヴィジュアル・アート
宙ぶらりんな場所と、透明な糸 ──キュンチョメ

演劇批評
言語化以前の原感覚に支えられた、演劇的な宇宙 ──岩城京子

輪廻
彼の空白 飴屋法水

映画という亡霊を掘り起こす?ヴィデオ・インスタレーション、物語(ナラティブ)、Non-Cinema ──中村紀彦

前世を思い出せる男?アピチャッポン・ウィーラセタクンによるインスタレーション ──カレン・ニューマン (久保豊訳)

転生と精霊の芸術 ──伊藤俊治

夜の森で?遊戯と情動のポリティクス ──港千尋

蔡明亮、バルト、アピチャッポン?身体、同性愛、名付け得ぬもの ──夏目深雪

■Anthropology
ジェンダー
タイのジェンダーと政治社会 ──福冨渉

フィールドワーク
タイ的平衡 ──綾部真雄

探検
世界の未整理性を象徴するタイの「ピー」 ──高野秀行

幽霊
タイの幽霊 ──四方田犬彦

追憶のナブア-「プリミティブ」プロジェクトをめぐる手記 ──アピチャッポン・ウィーラセタクン (水野友美子訳)

病んだ体と政治の体?アピチャッポン・ウィーラセタクンの政治社会学 ──福島真人

ブンミおじさんの森?記憶を歴史に変える映画(抄訳) ──フィルムシック (福冨渉訳)

東北の発見?アヴァンギャルド/フォークロア ──金子遊

■Cinema
音楽
『モーラム』と『プア・チーウィット』とイサーン ──相澤虎之助(空族)

映画製作
アピチャッポンとともに ──福間健二

軍事政権下におけるタイ映画の愚かな現状とその未来 ──アピチャッポン・ウィーラセタクン (木本早耶訳)

「世紀の光」へ向かう奮闘 ──チャヤーニン・ティアンピッタヤーコーン (福冨渉訳)

『世紀の光?タイランドエディション』??この国で映画が映画でなくなる時
──チャヤーニン・ティアンピッタヤーコーン (福冨渉訳)

ディジタル文化とアジア的世界観?「準‐客体」と(しての)アピチャッポン・ウィーラセタクン ──渡邉大輔

タイトル未定  ──北小路隆志

Beautiful Dreamer ──佐々木敦

虚無との接触?アピチャッポン・ウィーラセタクンの映画 ──トニー・レインズ (後藤護訳)

形式化と造化作用 ──四方田犬彦

■あとがき?七番目の芸術による、六番目の大陸行き ──夏目深雪

■編者・執筆者・訳者紹介

■Filmography & Reviews
真昼の不思議な物体/ブリスフリー・ユアーズ/アイアンプッシーの大冒険/トロピカル・マラディ/世紀の光/ブンミおじさんの森/メコンホテル/光りの墓/短編映画作品

■Reviws of Artworks
「プリミティブ」プロジェクト/PHOTOPHOBIA/さいたまトリエンナーレ

アート作品リスト
バイオグラフィー
ビブリオグラフィ


夏目深雪[ナツメミユキ]
批評家、編集者。映画を中心に、演劇やダンスについて執筆。慶應義塾大学非常勤講師(アジア映画)。共編著書に『アジア映画の森 新世紀の映画地図』『アジア映画で<世界>を見る 越境する映画、グローバルな文化』(作品社)、『インド映画完全ガイド マサラムービーから新感覚インド映画へ』(世界文化社)、『国境を超える現代ヨーロッパ映画250 移民・辺境・マイノリティ』(河出書房新社)。08年から東京国際映画祭の選考業務に携わり、アジア映画の未公開作品を多く鑑賞。11年ジェローム・ベルのダンス評でF/T劇評コンペ優秀賞受賞。

金子遊[カネコユウ]
映像作家、批評家。映像、文学、民族誌学を横断領域的に研究している。著書に『辺境のフォークロア』『異境の文学』。編著に『フィルムメーカーズ』『吉本隆明論集』『クリス・マルケル』『国境を超える現代ヨーロッパ250』『アメリカン・アヴァンガルド・ムーヴィ』、訳書にマイケル・タウシグ著『ヴァルター・ベンヤミンの墓標』。劇場公開映画に『ベオグラード1999』『ムネオイズム』『インペリアル』がある。慶應義塾大学非常勤講師、ドキュメンタリーマガジンneoneo編集委員、山形国際ドキュメンタリー映画祭2015コーディネーターを務める。

相澤虎之助[アイザワトラノスケ]

アピチャッポン・ウィーラセタクン[アピチャッポンウィーラセタクン]

飴屋法水[アメヤノリミズ]

綾部真雄[アヤベマサオ]

伊藤俊治[イトウシュンジ]

岩城京子[イワキキョウコ]

カレン・ニューマン[カレンニューマン]

北小路隆志[キタコウジタカシ]

キュンチョメ[キュンチョメ]

佐々木敦[ササキアツシ]

高野秀行[タカノヒデユキ]

トニー・レインズ[トニーレインズ]

中村紀彦[ナカムラノリヒコ]

福島真人[フクシママサト]

福冨渉[フクトミワタル]

福間健二[フクマケンジ]

港千尋[ミナトチヒロ]

四方田犬彦[ヨモタイヌヒコ]

渡邉大輔[ワタナベダイスケ]

内容説明

精霊、前世、民話、森、獣、王室、輪廻転生…バンコクから離れたタイ東北部で育った映像作家が、映画を呼び覚ます。21世紀最大の才能、アピチャッポン・ウィーラセタクンをアート/人類学/映画論から読み解く、画期的批評集!全長編作品を語る本人のインタビューと詳細な作品ガイドも収録。

目次

1 Interview―アピチャッポン、全長編映画を語る
2 Art(ヴィジュアル・アート―宙ぶらりんな場所と、透明な糸;演劇―言語化以前の原感覚に支えられた、演劇的な宇宙 ほか)
3 Anthropology(ジェンダー―タイのジェンダーと政治社会;フィールドワーク―タイ的平衡 ほか)
4 Cinema(音楽―『モーラム』と『プア・チーウィット』とイーサン;映画製作―アピチャッポンとともに ほか)

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

しゅん

11
今、最も脂がのっていて最も重要で、そして最も名前の覚えられない映画作家がタイのアピチャッポン・ウィーラセタクンだ。本書は、劇映画と実験映画の間を自由に行き来するが故に活動の全貌が見えにくいこの監督の作品に触れるための手引書であると同時に、難解だが奇妙に観る者の心を捉える映像世界の中へより深く潜ろうとする意欲的な批評集でもある。研究者らしい緻密な論を展開する中村紀彦の論考からタイトルの印象だけでとんでもないところまで思索を広げる飴屋法水の文章まで、多種多様な表現が相互に絡み合い、美しいカオスを形成している。2017/01/31

チエコ

4
高野秀行さんのタイのピーの話が面白い。またじっくり観てみたい。2017/04/16

Chihoish

2
濃密アピチャッポン本。まだ観ていない作品がたくさんあるのでまた上映してくれないかなぁ。なんでツタヤには「ブンミおじさんの森」しかレンタル置いていないのじゃ!!2017/08/11

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