出版社内容情報
天草四郎の埋蔵金をめぐる壮大なる歴史浪漫
「さんしゃるニ こんたろす五 くさぐさの でうすのたからしずめしずむる」
富永電(あきら)は地元・天草の地金買取業者で働く29歳。
母は早逝し、ギャンブル依存の父と二人で暮らしている。
彼には幼少期から繰り返し見る夢がある。
曇天の海、死人のような自分の影、仄暗い地下トンネル……
不穏な夢と虚しい現実になす術がない彼を追い詰めるように、
父が多額の借金を残して失踪し……
(カコミ)
第24回手塚治虫文化賞「マンガ大賞」受賞作家が構想10年を経て解き放つ、血脈と宿命のサーガ!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
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3
史実や伝承を基に組み立てられる、綿密で説得力のある物語構成の出来栄えは、毎度のことではあるが驚嘆に価する。熊本県の天草、そして今回は現代を舞台にしたシリーズという事で、『ニュクスの角灯』などと比べても、幾分かは親近感が湧きやすいのではないだろうか。訳あって金に困っている貧しい青年・電(あきら)が、一縷の望みを賭した埋蔵金伝説。何度も夢で見た長い洞窟を友人とともに掘り進み、その先にあった光景が描かれる1巻目。まさかすぎる展開に、先が気になって仕方がない。「前世で親しかった」という台詞が未だに気がかり。2025/06/16