出版社内容情報
冴えない中年医師と天真爛漫な姪が織りなす、ささやかで確かな人生讃歌。『太陽の季節』と芥川賞を競い敗れた無冠の傑作が再び輝く!
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本屋のカガヤの本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
道楽モン
41
コミカライズを超越している見事な一冊。原作を活かすことは勿論、川勝徳重の表現作法は唯一無二の独自性に立脚した、ダンディズムの表明でもある。多くの漫画家が独自性を確立するために、商業主義的な記号とオリジナル性との間で葛藤し、結局は没個性の沼に沈んでいる。特に一連のweb連載転生モノ、BL系などの作品群は、実に凡庸な横並びの記号だらけだ。区別できん。そんな状況を横目に、この強靭な、自信に溢れた作品には、読者におもねり妥協する姿勢は微塵もない。時代性より作家性を優先し、堂々と胸を張る姿勢こそ未来への希望だ。2025/02/18
内島菫
11
本書を読むと文学とは何かと思う。細やかなこと、何でもないこと、秘めた屈託、劣等感、風穴、人間の機微、矛盾・・・・。様々に自由自在に表現できるはずの体裁が、かえってしがらみを、作者の自覚の有無にかかわらず露呈してしまうもの・・・・。とは言え、文学の要諦とは味わいと雰囲気ではないだろうか。この形なく目に見えず、捉え得たとしてもすぐに消えかねないものを弱いままでどこまで信じ得るかが文学を支えるものではないだろうか。その弱きものが行間として本書に感じられた。2024/09/02
たけのこ
2
藤枝静男先生の原作を川勝徳重先生がコミカライズ。面白かったです。ふきだしの形とか独特だし、絵柄が急に変わったり、古風で自由な印象がありつつも、いまっぽい新しいというか洗練された技術もこらされてて読み応えありました。2024/09/11
whistleman
1
藤枝静男の原作は未読。 不思議だけど好きな作品 日常のなかを不穏さと朗らかさがゆらゆらと寄せては返す、その波に揺られて読み進め、最後のページまで辿り着く 表紙の絵はあまり惹かれ無かったけれど作中の絵柄はとても良かった2025/05/14
bibliotecario
1
これが一位とは不思議なランキングや。2025/04/22