感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yumiha
38
中条省平氏の書評につられて、全く知らなかったマンガをチョイス。マンガだけれど深い。『夏物語』(川上未映子)の「どうしてみんな、子どもを産むことができるんだろう」 という問題提起を思い出した。無自覚なままで子どもを産み、眠れる家と毎日のご飯があればOKだった大雑把な私の子育て…そんな私からすれば、エキセントリック過ぎるように見えた沙良だけれども、ちゃんと向き合った上で折り合うことが必要なのかもしれない。夫さんが沙良の足先からなぞって涙に辿り着く場面、未来の赤ちゃんが伸びをする場面に救われた気がした。2021/08/21
うー(今年も遅くなります)
27
新しい命を授かり、ただただ子どもの明るい未来を思い描いていた夫婦。しかしマララ・ユスフザイさんの銃撃事件をきっかけに臨月の奥さんは思い詰めていく。。自分のお腹にいる子がこれから世にでて、そこに恐怖や困難が待っていたとしたら…ああ、奥さんの気持ち何だかわかるなぁ。投げ出さず奥さんとしっかりと向き合い、先を見据える旦那さんが頼もしく思えた。最後に夫婦二人で出した結論も良い。色々と考えさせられる漫画だった。2021/09/14
りらこ
26
そうなのだ。妊婦さんは幸せで赤ちゃんを迎える嬉しさに溢れて、ハッピーでたまらない、なんて訳無いじゃないか。そりゃ嬉しいですよ。でもこの世の中の荒波にまた立ち向かっていかせなければならない責任感と、そのなかで健やかに育ってほしい願い。不安と楽しみが打ち寄せる波のように押しては引き、引いてはまた打ち寄せる。この夫婦は決して絵空事ではない。そして産んだ先も、ずっと様々な物事に直面する。そうして親になるし、親にさせられる。2020/08/12
ぐうぐう
20
一作毎にスタイルを変えた漫画を発表してきた山本美希。その先鋭的な画が物語を牽引してきたことは事実だが、物語が画の犠牲になっていない点こそが重要だ。革新は、それが動機なのではなく、物語や主題が要求した結果なのだ。長編としては6年ぶりとなる本作でも、山本は果敢にスタイルを変えている。2012年、15歳のマララ・ユスフザイがタリバンに銃撃された事件をベースにし、出産を控えた若い女性が子を産む覚悟に苛まれていく過程が描かれている。(つづく)2020/07/05
亜希
17
芝パークホテルにて読了。画集サイズの漫画(と言っていいのかな?)。絵柄は自分の好みではないけれど、内容は良かった。妊婦、というか子を持つ親としてはわかるわかるよーと頷きつつ、色々と考えさせられる物語。一人の女の子を守るべく、周りの女の子が次々と手を挙げるシーンがすごくいい。題名の意味が沁みる。後世に名を残すような大物にならなくても、「かしこくて勇気ある子ども」になって欲しいというのは、子を持つ親として共通の願いかと。出会いに感謝。2022/11/06
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- 和書
- 信託法講義 (第2版)