出版社内容情報
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【目次】
内容説明
当時は、街中が断食芸人に夢中だった。彼が断食を始めると、人々の興奮は日ごとに高まっていった。断食芸を生業にする男。以前は圧倒的な人気を誇っていたその芸も、今では見向きもされなくなってしまった。それでも彼は断食を続ける。カフカの名作が、一瞬で目が釘付けになるような美しさを備えた作品で話題のイラストレーター・ウミ乃によって、鮮やかに現代リミックス。人気シリーズ「乙女の本棚」の第48弾が登場。小説としても画集としても楽しめる魅惑の1冊。全イラスト描き下ろし。
著者等紹介
カフカ,フランツ[カフカ,フランツ]
1883年現在のチェコ・プラハ生まれ。プラハ大学卒業後、保険の仕事を続けながら作品を執筆。数年間患っていた結核により、1923年に死去。死後に『審判』、『城』など未完の作品が発表された
斎藤寿葉[サイトウカズハ]
早稲田大学博士課程満期退学。専門は19世紀末から20世紀初頭のアメリカ文学。「ヘンリー・ジェイムズにおける贈与の力と資本主義」をテーマに博士論文執筆中
ウミ乃[ウミノ]
イラストレーター。VTuber関連のイラスト制作を多く手がけている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
シャコタンブルー
44
カフカといえば「変身」が有名だが、いつか読もうと思いながら現在にいたる。他の作品も読んでいないので本書が初のカフカ作品。短編であり素敵な画集でもある「乙女の本棚シリーズ」に感謝しかない。断食芸人はカフカの生きていた時代に実際に存在していたのだろうか・・娯楽の少ない時代だから、そういう見世物もあったのかも知れない。見る側、見られる側の意識の相違、断食に対する誇りや嘲りの対比も興味深いものがあった。ウミ乃さんの絵は素晴らしいのだが、流石に主人公のイメージとかけ離れていた気がする。2025/10/17
ぐうぐう
27
「乙女の本棚」で読む『断食芸人』。この主人公は興行のために断食という芸を強いられているわけではない。事実、40日という断食の期間に彼は不満を覚えていて、もっと続けられるのになぜ名誉を奪われねばならないのか、と考えている。やがて断食芸自体が廃れていき、彼は忘れ去られた存在になるのだが、逆に好きなだけ断食できる権利を得る。陽の目を見ない小説をそれでも書き続けたカフカ自身と断食芸人を重ねる考察もあるようだが、様々な解釈が可能なのが今作の魅力なのだろう。(つづく)2025/09/22
さこぽん
19
<乙女の本棚>シリーズ フランツカフカ 実際に断食が見世物になっていた時代があると知って驚き。ひとの断食を見て何が楽しいんだか?断食芸人が日数の記録更新をしたいと思うのもわからんし、断食の理由も驚くほどつまらない。生きることを諦めてるように見えて痛々しい。画が綺麗で画集としても楽しめる。2025/10/12
☆ひとこぶラクダちゃん☆
5
断食を見せ物として、誇り高く生きている断食芸人。人気絶頂の頃は『最後(40日目)の数日間は檻の前に座り込む客まであらわれた』程だった。しかし関心は衰え、サーカスの見せ物の一つとして細々と芸を続けるのだった…。断食芸の何が面白いのか理解できないまま終わってしまいましたが、途中からお風呂には入っているのか?が、気になりソワソワしてしまいました…。美しい挿絵は魅力ですが、絶対こんな姿じゃないだろう!とツッコんでおきましょう。乙女の本棚シリーズ。2025/10/22
ユキタ
3
図書館。「変身」以外のカフカ作品を初めて読んだ、と思ったけど「変身」もきちんと読んだことないな。初めてのカフカ作品。誇り高き断食芸人が誠実に芸を遂行するも、世間の関心が薄れてしまって捨て置かれるばかり、という物語。芸人の誇りと世間の無関心のギャップかと思ったけれど、どうも芸人も誇りゆえの断食ではなかったような最期の言葉で、どう受け取ればいいのか分からない物語だった。2025/11/03




