出版社内容情報
人気シリーズ「乙女の本棚」第38弾は、文豪・太宰治×イラストレーター・すり餌のコラボレーション!
小説としても画集としても楽しめる、魅惑の1冊。全イラスト描き下ろし。
内容説明
ああ。この誘惑は真実に似ている。あるいは真実かも知れぬ。おおきな海を渡った先は、深い霧に包まれた島だった。そこで私は同郷の者と出会い、ある決意をする。太宰治の名作が、水墨画のような柔かな色合いの和風イラストで話題のイラストレーター・すり餌によって、鮮やかに現代リミックス。人気シリーズ「乙女の本棚」の第38弾が登場。小説としても画集としての楽しめる魅惑の1冊。
著者等紹介
太宰治[ダザイオサム]
明治42年(1909年)青森県生まれ。小説家。1935年、「逆行」が第1回芥川賞の次席となり、翌年、第一創作集『晩年』を刊行。『斜陽』などで流行作家となるが、『人間失格』を残し玉川上水で入水自殺した
すり餌[スリエ]
イラストレーター。岩手県出身。シンプルなタッチながらも水墨画のような柔らかな色合いを使った、デザイン的な「和」のイラストを得意とする。小説装画・MV・パッケージデザインなど、多岐にわたり活動中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぐうぐう
18
まず、反転がおよぼす驚きから来る面白さが『猿ヶ島』にはある。見る側が見られる側であったという世界の反転は、シンプルに物語としての躍動を感じさせるのだ。しかし、その面白さに甘んじることなく太宰治は、不自由さを肯定することで起こるまやかしの幸福について、実にシニカルに描こうとする。「ああ。この誘惑は真実に似ている。あるいは真実かも知れぬ」真実であったなら、それはもはやまやかしではないのではないか。そのような抗い難い誘惑を前にして、一体何ができようか。(つづく)2024/04/24
モリヤマ リン
0
読了。これは太宰治が、当時の情勢をどう考えていたかの表れなのかな。でも、現在を表しているようにも思える。こういう物語を選ぶ『乙女の本棚』シリーズが、私は好き。すり餌さんの絵がすてきで、本を眺めるのも楽しい。2024/04/17