出版社内容情報
人気シリーズ「乙女の本棚」第38弾は、文豪・太宰治×イラストレーター・すり餌のコラボレーション!
小説としても画集としても楽しめる、魅惑の1冊。全イラスト描き下ろし。
内容説明
ああ。この誘惑は真実に似ている。あるいは真実かも知れぬ。おおきな海を渡った先は、深い霧に包まれた島だった。そこで私は同郷の者と出会い、ある決意をする。太宰治の名作が、水墨画のような柔かな色合いの和風イラストで話題のイラストレーター・すり餌によって、鮮やかに現代リミックス。人気シリーズ「乙女の本棚」の第38弾が登場。小説としても画集としての楽しめる魅惑の1冊。
著者等紹介
太宰治[ダザイオサム]
明治42年(1909年)青森県生まれ。小説家。1935年、「逆行」が第1回芥川賞の次席となり、翌年、第一創作集『晩年』を刊行。『斜陽』などで流行作家となるが、『人間失格』を残し玉川上水で入水自殺した
すり餌[スリエ]
イラストレーター。岩手県出身。シンプルなタッチながらも水墨画のような柔らかな色合いを使った、デザイン的な「和」のイラストを得意とする。小説装画・MV・パッケージデザインなど、多岐にわたり活動中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
☆よいこ
83
乙女の本棚シリーズ。太宰治×すり餌、繊細な文章と耽美なイラストレーションがふつくしい▽「はるばると海を越えて、この島に着いたときの私の憂愁を思い給え」深い霧に包まれた島を巡り枯れ木に上る。耳が光る猿が、お前とおれは仲間だと言う▽解説は無し。最後の一文で状況説明されるが、イラストレーションによるミスリードが心地よい。2024.4刊2024/05/28
寂しがり屋の狼さん
57
『乙女の本棚』シリーズ37冊目📚著者は同シリーズではおなじみ「太宰治」挿絵はシリーズ初の「すり餌」さん。(◕ᴗ◕✿)動物園…人は動物を見ているのか、それとも動物に観られているのか?観察しているのはどちら…。2024/06/13
ちえ
31
【乙女の本棚】最後の最後に何があったかわかるが、途中まですっかり騙されていた。実にそれが気持ちいいくらい。画家の「すり餌」さんは初めてだが和を感じる色調といいとてもきれい。楽しめた。2024/08/04
ぐうぐう
24
まず、反転がおよぼす驚きから来る面白さが『猿ヶ島』にはある。見る側が見られる側であったという世界の反転は、シンプルに物語としての躍動を感じさせるのだ。しかし、その面白さに甘んじることなく太宰治は、不自由さを肯定することで起こるまやかしの幸福について、実にシニカルに描こうとする。「ああ。この誘惑は真実に似ている。あるいは真実かも知れぬ」真実であったなら、それはもはやまやかしではないのではないか。そのような抗い難い誘惑を前にして、一体何ができようか。(つづく)2024/04/24
lovemys
15
イラストがとても素敵です。何だか違和感を感じながら読んでいたけど、最後で、だからか! と驚いた。太宰治は、こんなこと考えてたのか〜……と、彼の繊細さを感じた。2024/11/13