出版社内容情報
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内容説明
暖かい野の朝、谷間で「ハルロオ」と呼び、木精の答を聞く。それがフランツの楽しみだった。森〓外の名作が、書籍の装画やCDジャケットなどで知られ本シリーズでは横光利一『春は馬車に乗って』を担当するイラストレーター・いとうあつきによって、鮮やかに現代リミックス。人気シリーズ「乙女の本棚」の第34弾が登場。
著者等紹介
森〓外[モリオウガイ]
文久2年(1862年)島根県生まれ。小説家。東京大学医学部卒業後、陸軍軍医となり、留学生としてドイツに4年間滞在した。帰国後『舞姫』などを発表し、小説家としても活動をはじめる。またゲーテ『ファウスト』などの翻訳も行った。大正11年(1922年)没
いとうあつき[イトウアツキ]
イラストレーター。文教大学教育学部心理教育課程卒業。保育士として勤務後、イラストレーターに。ギャラリーDAZZLE実践装画塾7期修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
寂しがり屋の狼さん
56
『乙女の本棚』シリーズ33冊目📚森鷗外、挿絵は「いとうあつき」さん(◕ᴗ◕✿)子供の頃は、あたりまえにあったものが、大人になった今は別の子供たちのものに…絵本のような挿絵と物語が素敵な作品。2023/11/10
優希
42
木精は子供の頃しか聞こえないものなのでしょうか。絵本のような物語になっています。2023/11/23
ちえ
36
森 鷗外の短編。教科書に載るような話しか読んでいなかったから、こんな話も書いているのかと新鮮だった。「乙女の本棚」は絵とのコラボが魅力。いとうあつきさんの絵はお話とマッチした素敵な絵。初めて見る気がすると思ったら同じ「乙女の本棚」の『春は馬車に乗って』の方。こちらもとても好みでした。2023/12/19
羽雪*hane**
30
名作のリミックスというコンセプトの「乙女の本棚」シリーズ第34弾、タイトルと装丁で即買い。原作は未読で木精の読み方も読み始めて初めて知ったけれどとてもスムーズに読み進めることができて、名作の魅力を知る最高のきっかけになった。2023/09/10
ぐうぐう
27
フランツが巌に向かってハルロオと呼び、ハルロオと木精が答えるのに喜びを感じるのは、それが当たり前のことだからだ。やがて大きくなったフランツが、久しぶりに巌に呼びかけても、木精は何も答えない。当たり前が当たり前でなくなった。終盤、子供達の呼びかけに木精が答える場面にフランツが遭遇する。ここで、子供から大人への成長を見ることは簡単だし、それが間違いではない。ただし、この物語は、それ以外の解釈を幾通りも想像させる深さがある。その深さを理解している、いとうあつきの画がまた、読者の想いを多様にさせる。2023/08/23