出版社内容情報
天皇制国家は占領改革で解体を余儀なくされたが、保守支配層は、天皇制時代の統治の経験を捨てきれず1950年代にはさまざまな領域でその「復活」を図った。しかし、それらの動きは台頭する民主主義運動により挫折を余儀なくされ、天皇制は戦後型支配の補完物として新たな機能を果たしていく。第5巻では、「平成」の天皇期の、政治と天皇の関係を分析した。
内容説明
憲法の求める「象徴」像と乖離する「平成流」はなぜ生まれ拡大したのか。大国化をめざした支配層による天皇の政治利用と、皇室の伝統から独自の象徴天皇観を確立した「平成」の天皇の「自立化」の要因を歴史的に描く。
目次
1 戦後改革と天皇制(戦後改革と法―天皇制の改廃をめぐる攻防)
2 戦後政治史と二人の天皇(戦戦後保守政治と天皇制)
3 冷戦後日本政治と天皇制(「平成」の天皇と現代史;近年の天皇論議の歪みと皇室典範の再検討)
著者等紹介
渡辺治[ワタナベオサム]
一橋大学名誉教授。1947年東京都生まれ。1972年東京大学法学部卒業、73年4月より79年3月まで東京大学社会科学研究所助手、79年10月より同研究所助教授、1990年4月より一橋大学社会学部教授、2000年4月より10年3月まで同大学大学院社会学研究科教授、この間、2004年12月より06年11月まで同大学院社会学研究科長・社会学部長、2010年名誉教授。2001年より10年まで東京自治問題研究所理事長。2012年より15年まで日本民主法律家協会理事長。2004年より「九条の会」事務局(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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