出版社内容情報
刑事司法と福祉の連携が進むなか、刑務所など矯正施設を出所した人たちの社会復帰をサポートする取り組みが進んでいます。「出所者」の福祉的支援に携わるエキスパートたちが、出所者支援に必要な理念と実践内容をわかりやすく紹介。支援に関心を持つ人すべての人に。
目次
Step1 クライエントの属性から理解する(障害者による犯罪と支援の留意点;高齢者による犯罪と支援の留意点;女性による犯罪と支援の留意点)
Step2 ソーシャルワーカーとしての支援スキルを身につける(面接技法を修得する―動機づけ面接を中心に;入口支援の方法を修得する―情状証人に立つときの心得)
Step3 クライエントの罪種から考える(窃盗事犯にどう対応するか;薬物・アルコール依存症にどう対応するか;性加害行為にどう対応するか)
刑事司法ソーシャルワークに取り組む
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
てくてく
6
自由刑の一本化に伴って、刑務所は今まで以上に刑務所を出た後を見据えた処遇を個々人に応じて行う必要が出てくるだろうし、刑務所と外の社会を繋ぐ人や、刑務所から出た後の長い人生の同伴者みたいな支援者もより一層必要になってくるだろうなと思いつつ、刑務所だけではなく弁護士事務所に所属して更生支援計画を法廷で説明する人など、様々な活動に従事する人ならではの語りを読んだ。そして最後の章のタイトルである「支援することの暴力性と向き合う」の暴力性について考える必要を感じだ。2022/09/09
ノコンギク
2
amazonで。「過ちを犯してもやり直せる国,日本はそんな優しい国とでもお思いですか。」ドラマ『アンチヒーロー』で主人公は「リアルな世界では一度罪を犯した人を許す気なんかないんです」と切り捨てる。しかし現実に再犯せずに更生しようと生きる人が数知れずあることを私たちは知っている。支援は,安全な国を目指すためにも必ず必要。やさしくない社会だとしても,再犯しない生活への支援のために本を読んで終わりとはならない。この本では立場の違う専門家が,更生支援の実践に必要な知識,技術を伝える。2024/04/21
マイ
2
さまざまの立場から見た加害者支援が書かれていて興味深かった。 司法行政ソーシャルワークの目的は「どのような人でもいつか必ず生まれてきてよかったと思える人生を応援する」「それぞれの人生を豊かにする」であり再犯防止ではない。 刑事裁判の目的は「刑罰権の適正な実現」であり被告人更生ではない。 それぞれ見る方向や公的機関として出来る範囲が限られるなかで、どれだけ相手の立場に立って支援のバトンを繋いでいけるか。試行錯誤されている方には頭が下がる。2022/10/30