目次
第1章 ジョン万次郎・平野廉蔵と小笠原諸島―幕末維新期の「洋式捕鯨」をめぐって(捕鯨と小笠原諸島;「鯨漁御用」としての幕臣中浜万次郎 ほか)
第2章 明治期小笠原諸島の産業開発と鍋島喜八郎(幕末維新期・青少年時代の鍋島喜八郎;実業の世界へ―東邦組創設 ほか)
第3章 「南進」論者・服部徹の思想と行動―小笠原諸島を基点として(服部徹の略歴と先行研究;土佐自由民権運動から学農社農学校へ ほか)
第4章 又吉武俊の「南方関与」三〇年―戦前期沖縄とインドネシア(近代日本の出移民と沖縄;日本・インドネシア関係と在留日本人社会 ほか)
第5章 沖縄ルーツ・硫黄島出身「日系インドネシア人」勢理客文吉の歴程―小笠原諸島近現代史の文脈で(硫黄島「開拓」略史;勢理客文吉の両親の足跡 ほか)
著者等紹介
後藤乾一[ゴトウケンイチ]
1943年東京都生まれ、65年早稲田大学政治経済学部卒、法学博士(慶応義塾大学)。現在早稲田大学名誉教授・法政大学沖縄文化研究所国内研究員、この間学習院大学・東京女子大学・東京外国語大学・東京大学・国立インドネシア大学で非常勤講師、客員教授を務む(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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BLACK無糖好き
18
ミクロの視点から近代日本の「南進」政策を問い直す試み。本書で取り上げる人物は、ジョン万次郎・平野廉蔵(幕末維新期 小笠原諸島での洋式捕鯨)、鍋島喜八郎(明治期小笠原諸島の産業開発)、服部徹(『南進』論者としての思想と行動)、又吉武俊(『南方関与』戦前期沖縄とインドネシア)、勢理客文吉(硫黄島出身『日系インドネシア人』の歴程)。歴史に翻弄された様々な人間ドラマがある中で、特に印象に残ったのは終戦後インドネシア独立運動に身を投じた勢理客文吉のヒストリー。故郷である硫黄島を失った喪失感が痛いほど伝わってくる。2020/06/30