感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KUMAGAI NAOCO
2
アイルランドの作家ライアム・オフラーティの長編小説。社会主義の組織に属する元警官ジッポーは親友のフランキーを20ポンドで警察に売り、その結果フランキーは警察に殺される。執行委員長ガラハーがジッポーに接近して精神的に追い込む様子や、彼の密告者として証拠を突き止めようと追いかけるマローランドの執念等、最終的に悪が裁かれる話ではあるが、ダブリンの貧民街やそこにいる人々の描写がリアルで、読んでいて弱者に寄り添いたくなる様な作品。礼拝堂でフランキーの母に許しを請うジッポーの最期がまた悲しい。2023/11/13