感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
SIGERU
21
イタリア世紀末文学を代表する作家、ダヌンチオ畢生の傑作。叔父の莫大な遺産を相続し、無為安逸な生活を送るジョルジオは、美女イッポリタとの爛れるような官能生活に溺れる。情欲的なのに内省的。二律背反の生に引き裂かれる彼に、死の観念は付き纏って離れず、物語は逃れがたい破局へと向かう。死の舞踏にも似て。 イッポリタがジョルジオを挑発する「私の接吻が恐ろしいのね」という台詞には、ファム・ファタルの宿命的な蠱惑が感じられる。それが、死への引鉄になるとも知らず。本書は、昭和初期に刊行された春陽堂版世界文学全集の復刻だ。2021/12/18
-
- 和書
- ボクもたまにはがんになる