出版社内容情報
近代外交の様々な画期にかかわった外交家たちの足跡。明治から戦前まで、外交家たちの自伝・伝記・回顧録を集成。
外交官の個人文書の公開は現在ほとんどされていない。外務大臣経験者クラスでも、陸奥宗光や幣原喜重郎の例が辛うじて挙げられるぐらいである。近代政治史研究、特に政策決定過程などの研究上、個人文書の果たす役割ははかり知れないが、入手、閲覧ともに非常に難しいのが現状である。
本シリーズ『日本外交史人物叢書』は、これら外交官個人文書史料の不在を補うべく、外交官たちの自伝・伝記・回想録等を幅広く精査し、集成したものである。
●第8巻●国際外交録(杉村陽太郎著・中央公論社・1933刊)/杉村陽太郎の追憶(杉村陽一編・同・1940刊)
前著は、前編「聯盟脱退の真相」、中編「欧米の現勢を語る」、後編「世界を家として」の3編から構成される。国際連盟を舞台に活躍した杉村が、日本の連盟脱退に伴い、「平和の落武者」と自称し、失意の中で著した外交論。欧米における日中の評判、大国と小国の駆け引きについて、英仏など欧米各国の国民性とその外交感覚などについて語られ、文明論にまで広がる内容となっている。また、戦間期の国際外交の舞台裏について活写されている。『杉村陽太郎の追憶』は、当時親交のあった日仏の関係者が杉村の思い出を語ったものである。
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