出版社内容情報
近代外交の様々な画期にかかわった外交家たちの足跡。明治から戦前まで、外交家たちの自伝・伝記・回顧録を集成。
外交官の個人文書の公開は現在ほとんどされていない。外務大臣経験者クラスでも、陸奥宗光や幣原喜重郎の例が辛うじて挙げられるぐらいである。近代政治史研究、特に政策決定過程などの研究上、個人文書の果たす役割ははかり知れないが、入手、閲覧ともに非常に難しいのが現状である。
本シリーズ『日本外交史人物叢書』は、これら外交官個人文書史料の不在を補うべく、外交官たちの自伝・伝記・回想録等を幅広く精査し、集成したものである。
●第7巻●伯爵珍田捨己伝・明治・大正・昭和外交史料(菊池武徳編・共盟閣・1938刊)
1910年代から20年代にかけて、国際社会で著しく、その地位を向上させた日本の外交舞台の立役者のひとり、珍田の生涯がかれの事績と職務上交流のあった関係者の談話によって纏められた伝記。歴任地で際会した諸懸案について語られる。特に駐米大使時代の日本移民排斥問題については、その以前に、サンフランシスコ総領事として在任した当時の「排日問題」と併せて、事細かく明らかにされる。