内容説明
今はもう伝説になってしまったのか。純粋な少女の時代にのみあった少女と少女の秘め事じみた憧れ。少なくとも現代の日常生活の身近にあるものでも、市民社会で尊重されるものでもないようであるが、こと文学の世界では、ある時期の少女達には熱烈に受け入れられた。それらの作品を検証するものである。
目次
主要作品の梗概
川端康成「乙女の港」・その地位の検証―あるいは八木洋子頌
吉屋信子『花物語』論外篇―1920年代の嫁がされた娘たちへの誄
田村俊子「あきらめ」のもう一つの顔―初出稿から見た異端の愛と悲しみ
三島由紀夫のLesbianismの位相―「春子」と「暁の寺」の間の虚空
川端康成のLesbianismとPederasty―その関連についての懐疑説
「魔風恋風」・幻の《義姉妹》考―明治貝合小説成立前夜