内容説明
出会って2カ月後、男の異常性と殺意を感じ、遺書まで書いた猪野詩織さんは、その半年後の1999年10月、埼玉県桶川駅前で殺害されてしまう。執拗なストーカー行為、まったく動こうとしなかった埼玉県警、男の入水自殺…。事件には多くの謎があった。2000年3月、鳥越俊太郎がキャスターを務める報道番組『ザ・スクープ』(現『スクープ21』(テレビ朝日系))で、事件の真相が暴かれた。2000年9月、詩織さんと家族の悲痛な訴えを無視し続けた警察官3人に有罪判決が下され、同年11月にはストーカー規制法が施行。鳥越俊太郎が追い続け、日本民間放送連盟賞を受賞した『ザ・スクープ』の桶川女子大生ストーカー殺人事件。この事件は、あなた自身に、あなたの身内に起こるかもしれない事件でもある。
目次
第1章 腐敗と決意
第2章 拒絶と接近
第3章 狂気と恐怖
第4章 退廃と前進
第5章 迷走と信頼
第6章 虚偽と追及
巻末資料(埼玉県桶川市における女子大生殺人事件をめぐる調査報告書;虚偽有印公文書作成、同行使被告事件;ストーカー行為等の規制等に関する法律)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
171
「ストーカー規制法」成立のきっかけとなった事件である。 出会って2カ月後、男の異常性と殺意を感じ、遺書まで書いた猪野詩織さんが 埼玉県桶川駅前で殺害されたこの事件 …正直 今読んでも怖い。 警察の対応の遅さに 時代を感じる、作品だった。2020/05/24
たぬきごんべい
14
清水潔さんの「桶川ストーカー事件」を読んで続けてこちらを読んだ。 事件そのものは小松和人のねじ曲がった異常性格と 異常にやる気のない上尾署の不幸な重なりによって起きてしまった。 小松は川越署でも同様の事件を起こしてるが適切に警察に処理されていたようだ。 清水氏の雑誌フォーカスであぶり出された、埼玉県警&上尾署の保全による嘘と警察による 公文書改ざん犯罪がもみ消されそうになっていた。 猪野詩織さんのご冥福をお祈りします。 ★3.52018/11/15
Yukko
5
常軌を逸したストーカー行為とそれに苦しむ、被害者と家族。警察の怠慢やそれを隠蔽しようとする性質。被害者遺族のマスコミによる二次被害。それらを報道に熱い志と信念をもった目で見据え、正面から捉え、『なぜ?こうなってしまったのか?』に明確な答えを欲する姿勢がスゴいと思った。2013/03/13
通りすがりのブッカー
5
鳥越さんのジャーナリズム魂見せられたって感じ。マスコミが情報操作されて歪んだ個人情報作り上げるのにたいし、真っ向に事件に挑んだ。自身もマスコミ関係者なのに、マスコミの対応を批判できるなんてすごいよね。ジャーナリストの鑑というべき。マスコミの最後の砦は、この鳥越さんしかいない。…にしても、番組の趣旨に合わせたコメントしかできないタレントって…2012/02/20
ゆっこ09
4
図書館本。同事件の清水さん著作のほうを借りたつもりが間違えてこちらを借りていた。事件のこと知らなかったので驚きと警察の被害者に対する怠慢が酷すぎる。。これを機にストーカー法が成立したとのだが、マスコミは、どうだろう?当時と今を比べて彼らは何も学んでない気がする。金目当て男遊び、さも殺される方にも非があるみたいな被害者像を作ったマスコミ。友人が語る報道の自由は今も変わらず、被害者や遺族を二重にも三重にも苦しめていると思う。2016/12/09