内容説明
「六十年の間、人生の浮沈に従って書いて来たもの(中略)の中に二篇だけ、これだけはいい、と思えるものがあって」と著者が自負する二作を敢えて現代の読者に問う!
著者等紹介
佐藤愛子[サトウアイコ]
大正12年大阪生まれ。父は作家佐藤紅緑、詩人サトウハチローは異母兄。昭和44年「戦いすんで日が暮れて」で直木賞受賞。その一方で世相・風俗を痛烈な批評性と自在な文章で斬るエッセイも人気を博す。昭和54年『幸福の絵』で女流文学賞受賞。平成12年には、佐藤家の荒ぶる魂を冷徹な作家の眼で描いた大作『血脈』が菊池寛賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
109
佐藤さんの作品では「血脈」が今までで一番印象に残っているのですが、この短編2作品も印象に残る作品でした。作者ご本人が一番気に入っている作品であると書かれていますが、あまり肩に力を入れずに書かれたような気がしました。あまり評判にならないのは、主人公自体が周りにいるような感じの人々で事件らしきものもないからなのでしょう。2018/06/24
パフちゃん@かのん変更
25
『オンバコのトク』は『佐藤愛子の世界』の中で、私の作家人生、最高の作品と自作解説がなされている。どうしてこれが最高の作品なのかわからない。この作品にはモデルがいて、少し知的障害がある。父親もわからないし、生年月日もわからないし、字も書けないが、嘘もつかない純真な人。歌と太鼓がうまい。町の人はトクさんを差別していたが、差別しながら愛してもいた。う~ん、でもなんでこれが最高の作品なんだろうか。2022/01/19
駄目男
5
『加納大尉夫人』は先回読んだので、今回は『オンバコのトク』を読みたくてこれを買ってしまった。 私としてはこちらの作品の方が良かった。何とも切ないストーリーで胸を打つ。比較的戦前の貧しい農村を舞台にした小説が昔から好きだが、佐藤さんが選ばれるだけあって、多くの人に読まれるべき作品だと思う、短編なのであまり多く書くとネタバレになってしまうので、この辺でやめておくが二回ほど読むと脳裡にこびり付く話だ。2018/12/25
ekoeko
2
作者が「これだけはいい」と思っている作品2編dとのこと。「加納大尉夫人」で敬作と安代が暮らした町として大竹市が出てきますが自分の生まれた土地なのでびっくり。2018/06/27
だだ
1
今年8月に読む戦争関連小説はこれ。著者が筆頭に挙げるだけあってとても面白い。軍人の妻として日々過ごす主人公の心情がとても響いてくる。こんな気持ちを山ほど作り出す戦争は、やっぱアカンよ。2019/08/20
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