出版社内容情報
平城京・正倉院宝物・国分寺など、はなやかな天平文化の中心にあった聖武天皇。しかし晩年にはさまざまな苦難が重なり、仏教に没頭してゆく。奈良時代を代表する天皇の人物像を、その言葉とともに描く。
内容説明
平城京・正倉院宝物・国分寺など、はなやかな天平文化の中心にあったのが聖武天皇である。日本の歴史を人の一生にたとえると、奈良時代は青春期にあたるといわれる。律令という骨格が形成されつつあり、目標に向かって必死の努力を続け、若者としての悩みや挫折を繰り返しながらも成長してゆく清新な時期で、それを象徴するのが天平文化だと。聖武天皇自身の前半生はそれにふさわしい歩みとみることもできるが、晩年になると、さまざまな苦悩が重なり、自信を失い、ひたすら仏教に没入してゆくことになる。奈良時代を代表する天皇の人物像を、時々の言葉とともに描く。
目次
言葉からみる聖武天皇像
1 聖武天皇即位まで
2 天平年間の聖武天皇
3 彷徨五年
4 晩年の聖武天皇
帝王として生きる
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Shoji
37
聖武天皇とはいかなる人物であったのか。何を考えていたのか。史料を紐解き、聖武が生きた時代を考察して叙述しています。聖武天皇は、国家の富と権力をすべて掌握し、財力と権力の象徴として大仏を建立した超独裁政治家なのか。それとも、鎮護国家思想のもと衆生を救済に導く高貴な方なのか。どちらが事実に近いのだろうか。分からない。いずれにしても、1300年前のカリスマ政治家だったことは間違いない。2020/11/15
中島直人
6
(図書館)東大寺大仏建立しか知らなかった聖武天皇。時代の転換点に在位した、真面目で真摯な天皇の履歴。2020/12/16
rinrinkimkim
4
明日12日に56歳になる私。55最後は聖武帝本だった。わずか89ページだが、実に濃い。聖武帝の人間臭さ?政治スタイルなどが生き生きと語られている。遷都に次ぐ遷都で平城宮へ戻るのは逆アンケートで「しぶしぶ」戻った。とか光明子を皇后にする詔は「陛下そこまで言い訳しなくても」とか。あとがきのように最後のページには聖武が若き日理想とした帝王へ少しでも近づこうとした努力とまじめさが見える。とありました。とても肯定的で聖武帝をたたえており読後は温かな気持ちとなりました。寺崎さんっていい人かも?2021/06/11
akamurasaki
2
聖武天皇の生涯を通して奈良時代前半の政治や文化を紹介。天皇の詔を詳細に解説し、聖武天皇の気持ちや当時の時代背景を説明していく手法はわかりやすくて興味深かった。しかし聖武天皇の治世である天平前後は大仏建立や正倉院御物に代表されるような華やかな時代という印象だが、実際は政変あり、天災あり、飢饉あり、公害あり、そして感染症パンデミックと、かなり厳しく苦しい時代であったようだ。ちょっと今の日本に通じるものもある。2020/10/26
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