出版社内容情報
『宇宙船とカヌー』で名声を博したブラウワーのミクロネシアン・レポート。
ヤップ島の女性生物学者、サイパン島でカロリン人の何千キロにも及ぶカヌー航海術を継承している男性、パラオで口伝の歴史や伝説を長老から聞き出す女性。著者は、分別ある島の暮らしと伝統を守るために爽やかな汗を流す3人のエコロジストたちを、共感を込めて活写する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
なおこっか
5
『池澤夏樹の旅地図』で紹介されていた。70年代南洋を取材した三章から成る。取材先はヤップ島で「分別ある島の暮らしをしたい」という生物学者、パラオで「知的財産は私有財産」と語る歴史編纂者。そして表題となっている、星の歌を頼りに航海することを復活させた男たち。南洋各島のカヌーはそれぞれの特性を持ち活躍していたが、次第廃れていたところ、特に航海術に優れ張り合ってきたサタワルとプルワットの人々が、70年代になってカヌーの旅を再開する。星の歌は天空の地図、その島の者だけの財産。風と波、海中地形を身体で感じとる旅。2020/10/14
Shimejismile
0
太平洋を舞台にした、人と環境と文明と伝統についての静かな評伝。「宇宙船とカヌー」でもそうだったのだが、滅びゆくものや忘れられてゆくもの、残されてゆくものに対する著者の節度ある眼差しが大変に好もしく、対象の美しさを際立たせている感じだ。それにしてもこんなに素晴らしい本がなんで絶版なんだ?2011/07/31