内容説明
テントの中で目をつぶると、自然や生き物の気配が近づいてくる。―渓流、大風、木の葉、ヨタカ、イヌ、ネコ、ニワトリ、ブタ、ネズミ、コウモリ、カエル、トカゲ、ガ、セミ、クモ、キリギリス。奥行きのある空間へと私は融け込んでいく。そんなふうに眠る…。村びとは、習慣的に、熱帯林でとれる旬のものを食べている。彼らは、人間がことさら意識しなくても、栄養のバランスが一年単位で保たれることを、経験的に知っているのかもしれない。「大船に乗っている」とは、栄養については、周囲の山々に頼りきって安心しているということなのだ…
目次
1 “シンプルに暮らす”…衣・食・住の知恵
2 “森を大事にする”…環境と伝統の継承
3 “助け合って働く”…今日の生業と交通
4 “外の世界と折り合う”…「独自性」の展開
5 “自立心を養う”…子どもとコミュニティ
6 “恋人たちは考える”…規範と自由のはざま
7 “訪問者は体験する”…山村への加入儀礼
著者等紹介
富田育磨[トミタイクマ]
東南アジア地域ボランティア、フィールドワーカー。1972年、千葉県生まれ。学習院大学経済学部卒。銀行を九カ月間で退職のあと、地元学習塾でアルバイトをしながら、和声理論や民族音楽の基礎を学ぶ。2006年、はじめてタイを訪ねる。2008年から、北タイの少数民族山村を頻繁に訪ねて滞在し、少数民族語を使って、森林の緑化活動、伝承歌や生き物の調査活動、日本語の普及活動にかかわる。これまで現地で寝食を共にしたボランティアの人数は、日本とタイの大学生を中心に四〇〇人に上る。現在、メーファールアン芸術文化公演(タイ王室財団が管轄する文化施設)特別主任研究員(北タイ山村担当)、NPO法人草の根国際協力研修プログラム(日本のNGO)タイ現地担当。放送大学総合科目「情報化社会と国際ボランティア」(放送=2019年4月~)の第13回にゲスト出演。また、タイ国家学術調査委員会(NRCT)より研究許可証(期間=2019年12月~2021年7月)の交付を受けた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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noko