扶南・真臘・チャンパの歴史

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  • サイズ A5判/ページ数 231p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784839603021
  • NDC分類 223
  • Cコード C3022

出版社内容情報

類書のない「アジア古代史」の貴重な概説。漢籍をもとに、謎の多い3つの大国の関係を再構築する。類書のない「アジア古代史」の貴重な概説です。

扶南(ふなん)=紀元2世紀から7世紀にかけてインドシナ半島の南部(現在のカンボジア・ベトナム)を拠点にインド・中国との交易で栄えた国家。7世紀以降、歴史から消える。

真臘(しんろう)=扶南の傘下にあったクメール人の国家。扶南に代わってカンボジア東部を中心にタイ東北部・ラオス南部を支配するが、8世紀に分裂、その一部がアンコール王朝を作る。

チャンパ=2世紀から15世紀までベトナム中部に栄えた国家。主体はチャム人(現在は少数民族)で、独特の文化を持つ海洋国家だが、分裂を繰り返し、わからないことが多い。中国の文書では「林邑」→「環王」→「占城」と呼び名が変わる。

この3つが古代の東南アジアで最も有力な国家で、おたがいに深い関係を持っていたことは事実ですが、詳細は不明です。本書は、長年、欧米の研究と漢籍(中国の文書)を読み解き、3つの国家の関連を中心に壮大な「古代史図」を提示した労作です。

序章 歴史のあらすじ 11

第1章 扶南の成立と滅亡と再生 19

1-1 扶南の建国と発展 19

1-2 扶南と中国 29

1-3 陸路の扶南――陸路依存の時代 34

1-3-1 陸路の拠点シーテープの存在 36

1-3-2 チャナサ王国など中間王国の存在 42

1-3-3 ドヴァーラヴァティ(堕和羅鉢底) 47

1-4 海の扶南 51

1-4-1 西海岸の主要港の支配 51

1-4-2 ベンガル湾横断直行ルートとケダーの興隆 52

1-4-3 扶南の亡命先としての盤盤国と室利仏逝の成立 54

1-4-4 盤盤における大乗仏教とシュリヴィジャヤの宗教 61





第2章 真臘――前アンコール王朝 63

2-1 真臘が扶南を追放する 63

2-2 真臘の出発点としてのシーテープの役割 65

2-3 扶南の首都 73

2-4 真臘――前アンコール王朝 75

  2-4-1イシャーナヴァルマンの全土統一 76

2-4-2聖山とピラミッド 78

2-5 真臘の終わりのはじまり 78

2-5-1 真臘の朝貢と「水真臘」と「陸真臘」の分裂 81

   2-5-2 前アンコール王朝(真臘)の末期 85

2-6 賈耽の『皇華四達記』が示す陸路と海路 86

   2-6-1 陸路で文単経由羅越への道 86

   2-6-2 海路でベンガル湾へ抜ける道 88

 2-6-3 羅越の位置はマレー半島北部 93

2-7 M.ヴィッカリーのセデス批判 93



第3章 扶南のその後と室利仏逝の成立 99

 3-1 生きていた扶南 99

 3-2 扶南の消滅と室利仏逝の登場とその後 103

    3-2-1 狼牙修国(ランカスカ)の朝貢 104

 3-2-2 干陀利と赤土国と室利仏逝105

 3-3 室利仏逝の消滅とシャイレンドラの台頭 109

 3-4 M.ヴィッカリーの理論的問題点 112

    3-4-1  M.ヴィッカリーの誤解のその1 112

    3-4-2  M.ヴィッカリーの誤解のその2 113

 3-5真臘のまとめ 115

図表1 真臘王朝の諸王 116

図表2 アンコール王朝の諸王 117



第4章 アンコール王朝  118

 4-1 ジャヤヴァルマン2世 118

4-2 ジャヤヴァルマン2世の本拠地ロリュオス 127

 4-3 シュリヴィジャヤ・グループの戦略 131

 4-4 ジャワ(闍婆)はマレー半島も意味していた 133

 4-5 リゴール碑文 137

 4-6 ロリュオス地区からアンコール地区へ 140

   4-6-1 ヤショヴァルマンのアンコール地区への遷都 142

4-6-2 ラジェンドラヴァルマン2世とジャヤヴァルマン5世 145

   4-6-3 スルヤヴァルマン1世 148

   4-6-4 ハリプンチャイ歴史物語 150」

 4-7 チョーラ(注輦)の三仏斉侵攻155

 4-8 スルヤヴァルマン2世――シュリヴィジャヤとの断絶――ヒランヤヴァルマン家の台頭、ダンレック山脈の北側の勢力 158

 4-9 ジャヤヴァルマン7世(仏教王) 162

 4-10 破滅に向かうアンコール王朝 173

    4-10-1 周達観の『真臘風土記』 176

 4-10-2 アンコール王朝の最後 177



第5章 チャンパ史(12世紀末まで) 181

 5-1 林邑の建国 182

 5-2 林邑の初期の朝貢 188 

5-3 中間期(南斉から隋まで)の林邑と朝貢 190

  5-3-1 王位継承にまつわる漢籍の混乱 190

   5-3-2 中間期の朝貢実績 192

5-4 唐時代(618?907年)の朝貢と環王 195

 5-4-1 林邑の唐への入貢、750年が最後 198

   5-4-2 林邑時代のまとめ 201

5-5 占城の時代 202

 5-5-1 占城の朝貢と国王など 203

 5-5-2 ヴィジャヤ王国の登場 205

 5-5-3 大食との関係強化 207

 5-5-4 アンコール王朝や大食との相克 211





参考文献 215

索引

あとがき ?

年表:扶南の王統/真臘・アンコールの王統/チャンパの王統 

鈴木 峻[スズキタカシ]
1938年8月5日満州国・牡丹江市生まれ。
1962年東京大学経済学部卒業。住友金属工業、調査部次長、シンガポール事務所次長、海外事業部長。タイスチール・パイプ社長。鹿島製鉄所副所長。(株)日本総研理事・アジア研究センター所長。
1997年神戸大学大学院経済学研究科兼国際協力研究科教授。2001年東洋大学経済学部教授。2004年定年退職。その間、東京大学農学部、茨城大学人文学部非常勤講師。立命館大学客員教授。
経済学博士(神戸大学、学術)。
主な著書『東南アジアの経済』(御茶ノ水書房、1996年)、『東南アジアの経済と歴史』(日本経済評論社、2002年)、『シュリヴィジャヤの歴史』(2010年、めこん)、The History of Srivijaya(英文。2012年、めこん)

目次

序章 歴史のあらすじ
第1章 扶南の成立と滅亡と再生
第2章 真臘―前アンコール王朝
第3章 扶南のその後と室利仏逝の成立
第4章 アンコール王朝
第5章 チャンパ史(12世紀末まで)

著者等紹介

鈴木峻[スズキタカシ]
1938年8月5日満州国・牡丹江市生まれ。1962年東京大学経済学部卒業。住友金属工業、調査部次長、シンガポール事務所次長、海外事業部長。タイスチール・パイプ社長。鹿島製鉄所副所長。(株)日本総研理事・アジア研究センター所長。1997年神戸大学大学院経済学研究科兼国際協力研究科教授。2001年東洋大学経済学部教授。2004年定年退職。その間、東京大学農学部、茨城大学人文学部非常勤講師。立命館大学客員教授。経済学博士(神戸大学、学術)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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