内容説明
戦後65年になる今日、歴史学界のみならず広く国民的にも新しい通史が求められている。岩波の「シリーズ日本近現代史」第一巻から第九巻は、このような要望に答えるために企画・出版されたものである。しかし、明治維新史を中心に日本近現代史を専攻し、通史叙述にも強い関心を持って来た著者は、このシリーズ全巻を検証する。第一巻の「成熟した伝統社会論」、第二巻の「国民国家論」、第七巻の「総力戦体制論」などが批判的に取上げられるが、とりわけ明治維新論や福沢諭吉論などの批判的論述は詳細であり、その論拠と自説とが緻密かつ実証的に展開される。
目次
序章 なぜ日本の近現代史を学ぶのだろうか
第1章 真向から対立する二つの明治維新論
第2章 民権運動をどのように位置づけるか
第3章 帝国主義世界体制への参入と天皇制国家の確立
第4章 軍部ファシズムと侵略戦争への道
第5章 敗戦と戦後改革をどう見るのか
終章 戦後という時代のとらえ方
付論1 国民国家の論じ方によせて
付論2 アジアと日本―世界史との関連性についての試論
著者等紹介
宮地正人[ミヤチマサト]
1944年久留米市に生まれる。1966年東京大学文学部国史学科卒業。1971年東京大学人文科学研究科博士課程中退。同年東京大学文学部助手。1973年東京大学史料編纂所入所。1982年同助教授。1989年同教授。2001年より2005年まで国立歴史民俗博物館長。現在、東京大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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