フランケンシュタインの男

川島のりかず

マガジンハウス（2022/12発売）

• サイズ A5判／ページ数 208p／高さ 21cm
• 商品コード 9784838732319
• NDC分類 726.1
• Cコード C0095

出版社内容情報

1980年代サイコ・ホラーの傑作！
伊藤潤二先生推薦！

都市生活に疲れたサラリーマンが、心療内科で少年時代を思い出す
「フランケンシュタインの怪物」にご執心のお嬢さんと、禁じられた遊びに興じて…

フランケン！フランケン！
の怒号とともになだれ込むクライマックスは必見!!
恐怖、熱狂、郷愁、お嬢さん、劣等感…全部揃ってます！

しかし著者が消息不明！
ひばり書房というホラー・マンガ出版の老舗に彗星のように現れて消えた川島のりかず。
21世紀に入ってから再評価され古本の価格が急騰。
中でも絶筆『中学生殺人事件』は過去に33万円で取引されたこともあります。
ながらく復刊が望まれてきましたが著者は消息不明。
その生死もわかりませんでした。
この度、ご親族の方とコンタクトが取れついに復刻されます！

著者略歴や解説などの文章記事も20ページと充実！
・編集後記（出版経緯）
・川島のりかず略年譜
・ホラー・マンガ・コレクター緑の五寸釘氏による、川島のりかず推薦図書
・川勝徳重による解説文
※電子版は記事に掲載された図版や写真がカラーになります。

＜伊藤潤二先生の推薦文＞
主人公の身の回りに姿を現す血みどろの少女…「ひばりコミックス怪談シリーズ」ならではの怪奇な導入がそそられます。
そして物語はさらに深いテーマへ。望まれない人間が、本来の自分を求めてさまよう物語。
それが「フランケンシュタイン」の怪物に重ね合わされ、破滅へ突き進む…恐ろしくも悲しい物語です。

（本作は1986年にひばり書房から出版された同名のコミックスの復刻本です。
オリジナルは新書判ですが、A5判にサイズを大きくしております。オリジナルをスキャンして復刻しているため、見づらい点もございます。ご了承ください。）

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[内島菫]

まずタイトルの「フランケンシュタインの男」という言葉が気になった。ネタバレのようで、よくわからない絶妙なタイトル。読後にはそういうことかという通常の理解と、つまりはどういうことなのかという深まる味わいを同時に体験できる。主人公の空木鉄雄少年と奇妙な友情で結ばれる君影綺理子は庶民と大金持ちという境遇こそ違え、同じような孤独と歪みを抱えた目をしている。綺理子は鉄雄たちの町を見下ろす小高い丘の上の屋敷に住んでいるが、鉄雄はそこで初めて自作のフランケンシュタインのマスクを被る。

2023/08/26

[∃.狂茶党]

本書は、サイコスリラーであり、怪奇幻想譚でもある。 仮面に取り憑かれた物語は多数あるが、なかなかに美しく、作者が意図しているかどうかは定かではないが、映画『フランケンシュタイン』の変奏としても機能する。 なかなかに美しい物語。 タイで海賊版が出たそうですが、英語や中国語、スペイン語などにも翻訳してほしい。 そして、映画にしてほしい。 最近出てる日野日出志作品集などの、編集者が出しゃばる風潮とはことなり、堅実な編集が素晴らしい。

2023/01/26

[Ex libris 毒餃子]

伊藤潤二のオビ文が全てを物語っている。良質のホラーでした。肉体のコンプレックスは根深いが、それを同質のより優れた他者への服従を通じて解消されるさまをホラーで昇華している。様々なコンプレックスは現代でも通じるので、それらの解消になりそう。

2023/01/06

[まるのすけ]

良い本 燃えた。漫画の内容も心理描写がしっかりとなされていて、コマの運びも工夫されている場面がありストーリーに引き込まれる。 そして、編集後記と、川勝徳重氏による解説が良い。作者と漫画と日陰文化に対する愛情を感じる。 マガジンハウスは良い復刻本を出してくれるので好きです。

2023/05/01

[かやま]

作品自体は既読なのであとがき等に関して。謎のマンガ家・川島のりかずが現在どうしているのかや、これまで描かれた作品についてなど可能な限り判明している情報などが詳細に収録されていて大変貴重な一冊だった。ただでさえ相場4～5万円するような作品の復刊なのにこれだけ周辺情報が抑えられているとなるとこの値段で購入するのが申し訳ないくらいに思えてくる。この本自体が数年後、ン万円するなんて事の無いように願うばかり。

2023/01/04