内容説明
後嵯峨院時代に作られたとされるこの物語をはじめ、中世王朝物語は、『源氏物語』などの「模倣」として軽く扱われてしまうことが多い。この物語を精査し、「研究史」を問い、第一部では「見ること、似ること」のその双方の関係を捉えなおし、第二部では「手紙」という重要なアイテムから、物語の前半と後半での担う役割に注目し、第三部では「琴」や「笛」といった「楽器」や音楽からその背後にある皇統に触れ、第四部では物語の中心人物である「一品宮」について論ずる。真正面から『いはでしのぶ物語』に挑んだ一書。
目次
第1部 見ること、似ること(一品宮―物語世界の座標;二位中将―再現する者;右大将―「似ること」からの脱出)
第2部 手紙(二位中将―手紙と「仲だち」;現実を作る噂―沈められた欲望;右大将―筋書きの選択と手習)
第3部 音楽(琴の琴―一品宮との「合はせ」;右大将の笛―異分子の音)
第4部 一品宮(一品宮の降嫁―皇女の傷と回復;連関する密通―もたらされる赦し)
補遺 『いはでしのぶ』前後(「まもる」が見出す縁と絆―『源氏物語』を起点として;雛屋の中の報復―『恋路ゆかしき大将』)
著者等紹介
毛利香奈子[モウリカナコ]
埼玉県生まれ。2009年学習院大学文学部日本語日本文学科卒業。2020年学習院大学人文科学研究科博士後期課程修了。博士(日本語日本文学)。現在、学習院大学文学部日本語日本文学科助教、国士舘大学文学部非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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