内容説明
オオカミはなぜいなくなったのか。イギリスでは悪役。アイルランドでは人間の味方や友だち。そして日本では…。オオカミと人間の関係をふりかえり、民話や小説、歴史や生態からその問いにこたえる。
目次
1 「最後のオオカミ」の物語
2 羊に追いつめられたオオカミ
3 イギリスの自然は「優しい」
4 イギリスへふたたびオオカミを?
5 アイルランドのオオカミ―イギリス統治以前
6 イギリス植民地下のアイルランドとオオカミ
7 民話に見るオオカミとアイルランド人
8 蒐集されるオオカミと脱走するオオカミ
9 人狼たちのイギリス
10 南方熊楠とオオカミ―人間に化けるオオカミたち
11 オオカミに育てられた子
著者等紹介
志村真幸[シムラマサキ]
1977年、神奈川県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業、京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了、博士(人間・環境学)。南方熊楠顕彰会理事、慶應義塾大学非常勤講師。専門は比較文化研究
渡辺洋子[ワタナベヨウコ]
聖心女子大学英文科卒業。アイルランド伝承文学研究。「日本民話の会・外国民話研究会」「イアシル・ジャパン」「シャムロック会」会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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さつき
70
イギリス、アイルランドのオオカミが絶滅していく過程がよくわかりました。そしてイギリスにはオオカミどころかクマもイノシシもいない。人間にとって危険な動物は駆除されて「優しい自然」が広がる世界なのだと知り目から鱗が落ちました。そしてアイルランドのオオカミにまつわる民話の数々面白かったです。映画ウルフウォーカー観てみたくなりました。たまに挟まるニホンオオカミの話しも興味深くもっと知りたくなります。2023/10/16
トムトム
25
へぇ!オオカミの話より前に、イギリスにもクマがいたんだ!同じ島国なのに、自分より肉体的に強い生物と共生してきたか、敵を滅ぼしてきたかの違いをかんじました。とはいえ、日本の四国ではクマは絶滅しているし、九州も絶滅寸前。サイとかゾウとかの絶滅を心配する前に、日本国内の大型哺乳類のことも考えましょうよ。彼らも馬鹿じゃない。人間が威厳を持って「オラァ!」とやれば、武器なしでも追い払えます。共生できるのになあ…。2023/07/25
ようはん
19
イギリスのブリテン島の狼は羊の害獣である事に毛皮や貴族の狩猟で15世紀末には絶滅しており(熊や猪も絶滅している)、その後獰猛な獣という認識しかなく、タスマニアのフクロオオカミ絶滅の悲劇も招いてしまった。対象的にアイルランドは狼との共存関係を築いていたもののイギリス人の入植により18世紀には絶滅したのは悲しい話。2023/01/12
takao
2
ふむ2023/07/09