内容説明
不思議な怪談や奇譚を伝える東西10の城を歴史学と伝承学から見渡し、怪異の生成や伝承の背景を紹介する。歴史の裏に埋もれた城にまつわる「闇」の魅力が明らかにされる。
目次
会津若松城―怪異が導いた創建伝説
駿府城―謡の呪いと狐、狸、封の怪
浜松城から江戸城へ―徳川将軍家の闇
松本城―二十六夜神の神秘
名古屋城―見守る櫃と天狗と狐たち
伏見城―落城の記憶と血天井
大阪城―豊臣家の怨霊
姫路城―変遷するオサカベ
松江城―伝説をつなぐ祈祷櫓
松山城―蒲生家の断絶と残された景色
著者等紹介
二本松康宏[ニホンマツヤスヒロ]
1966年生まれ。静岡文化芸術大学教授。博士(文学)
中根千絵[ナカネチエ]
1967年生まれ。愛知県立大学教授。博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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たかぴ
2
城郭に纏わる怪異話。怨霊、妖怪、死霊などの其れは城主や奥方、城に勤め、関わる者達を祟るだけでは無く、守護する者にもなり得る。2024/01/27
志村真幸
1
小田倉仁志「会津若松城-怪異が導いた創建伝説」、中根千絵「駿府城-謡の呪いと狐、狸、封の怪」、堤邦彦「浜松城から江戸城へ-徳川将軍家の闇」、二本松康宏「松本城-二十六夜神の神秘」などが収録されている。 日本史研究者、国文学者、城郭研究家が集まってつくられた、かなり本格的な研究書である。築城にまつわる伝説が生まれた理由を歴史的な文脈から解釈したり、姫路城のオサカベの文学・芸能・絵画表現上の変遷をあとづけたり、大名家の断絶が怪異譚によって説明される要因を分析したり。2022/04/03
aoto
1
お城にまつわる怪異の話。参考資料がたくさんあって、検証という点で信じられるなと思う。興味深いのが駿府城。朝顔、芭蕉、杜若と草木の化身が登場する謡曲が怪異の形成に使われていることから、怪異を作り出した人間の教養に注目してるところ。名古屋城は怪異がないと愚痴りながら、ユニークなものを挙げているところも面白い。姫路のオサカベに充てる漢字の多さには驚き。2022/02/12
那岐
0
お城の怪談話そのものというよりも、どうしてその城にその怪談が出来たのか、という点が面白かった。 権力者による権威付けだったり、悲劇の理由付けだったり、今は別のものが(科学とか)変わりになっているけれど、いろいろな現象に理由を求めるのは、今も昔も変わらないのだな、と思った。 まあ、怪談話を作り出すのは今も同じだけど。2022/09/05