内容説明
日本発の桃太郎、国境の鬼ヶ島へとつきすすむ時代性。走れメロス、西行も、世界とつながる時代性。ヘビやカエルの異類婚姻譚などを本書は読み解く。話型、モチーフを軸にバラエティー豊かに発生、成長する変化の姿を日本、アジア、ヨーロッパ間で差異を共有する国際比較。
目次
1 桃太郎の内と外(「桃太郎」の発生;「鬼ヶ島」の形成;「桃太郎」の素性 ほか)
2 異類婚姻譚の国際比較(「蛇婿入」の国際比較;異類婚姻譚における殻・皮・衣とはなにか;「一寸法師」と「田螺息子」 ほか)
3 昔話、説話モチーフの国際比較(昔話「藁しべ長者」の主題と形式;アジアの「猿地蔵」;イソップ寓話と「鳥獣合戦」 ほか)
著者等紹介
花部英雄[ハナベヒデオ]
國學院大學教授。1950年生まれ。専門は口承文芸。1975年國學院大學文学部文学科卒。文学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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itokake
10
小学生の息子が「桃太郎はどこからきたの?」という発表を学校でやった。面白そうだなと思っていたら、図書館の新着本に本書を発見。息子と読むかと借りてみたら、一般向けではなくて学術書…私(母)だけ読みました。かなり難解。理解した範囲では、桃太郎の原型は奄美で誕生。「ホーラのマーヤ」という話がそれ。現在の桃太郎は明治に教科書に載ったもの。それ以前は江戸時代に多く出版され人気だったが、起源に定説はない。著者は2021年退官で、この本が最後かもとあとがきにあり、それが非常に読みやすい。ぜひ一般向けの本を書いてほしい。2021/08/14
らむだ
3
桃太郎・蛇婿入・一寸法師・わらしべ長者などの身近な昔話や説話をテーマに、読みやすい文体でまとめられている。参考文献も適宜示されているので知識を深めるステップも踏みやすい。 別々に発表された文章をまとめたものなで、やや重複する部分があるのは注意。 Ⅰ桃太郎の内と外。Ⅱ異類婚姻譚の国際比較。Ⅲ昔話、説話モチーフの国際比較。 2022/04/22
takao
2
ふむ2021/06/01
志村真幸
1
第一部は桃太郎。さかんに昔話研究でとりあげられ、また類似の物語が世界各地にあることも知られている。そうした研究状況を整理し、いまどこまで分かっているのか、どういった切り口をとるべきかが示される。 第二部は異類婚姻譚の国際比較。蛇婿入り、殻や皮を脱ぐこと/かぶることのもつ意味、一寸法師などが俎上にあげられる。ヨーロッパ、日本、さらにアジア各地が網羅され、よく見通しが開ける。 そのほか「走れメロス」の原典についての研究状況、イソップと鳥獣物語の比較など。 昔話・説話の国際比較の現在がよくわかった。 2021/06/30
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