内容説明
稲を干し、柿を干し、大根を干す…。ホタルイカや鮭など海の幸も干す。織り上げた布を雪の上にさらし、座敷いっぱいに虫干しされた宝物は歴史を物語る。富士山の頂上近くの山小屋では干された布団が太陽を浴びている。日本に残る「干す」風景。先人の知恵がつまった天日干しの風景が心にしみる写真集です。
目次
干し柿
大根干し
上野大根
寒干し大根
凍み豆腐
かんずり
信濃くるみ
梅干し
食用ほおずき
柚餅子〔ほか〕
著者等紹介
西村豊[ニシムラユタカ]
1949年京都府京都市生まれ。1972年長野県に移り住む。1977年自然写真家として独立(ネイチャーフォト・プロダクション代表)。(公益社団法人)日本写真家協会正会員。公立諏訪東京理科大学非常勤講師。JPCA日本写真著作権協会会員。長野県富士見町文化財専門審議会委員他。フリーの自然写真家として、美術図書・自然雑誌・広告・動物図鑑など、各界の雑誌・テレビなどで、その作品を発表している。各地方で社会人講師を務め地元では子供や大人と自然観察会を行っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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真香@ゆるゆるペース
143
図書館本。日本ならではの「天日干し」。本書はそんな干すという文化に着目し、その風景をとらえた写真集になる。被写体になっているのは、柿・梅・お米など日本人には馴染み深い食品から、布団・反物・楽器など食品以外のものまで様々。それぞれの最大限の力を引き出す干すという行為は先人の知恵が凝縮されており、整然と並んだその姿はどれも美しくて圧巻。紹介されている文化の一部は風前の灯のものもあり、貴重な記録となっている。時短やスピードが求められる現代社会とは対極にある手間暇を惜しまない伝統、今後も受け継がれていってほしい。2021/07/08
kinkin
112
サブタイトルは日本の天日干しをめぐる。こんなに天日干しがあるのかと感じた。食べ物だけでなく笑や鯉のぼりまで。多様なこと。乾燥した気候のためか長野県あたりに多いことに気づいた。身近なところでは干し柿や大根など。昔は秋になると収穫した米を干すために竹や木材を組んでそこに干していたことを思えだした。上まで登って足を滑らせ落ちたことがあります。こんな文化はいつまでも続いてほしい。図書館本。2022/03/02
ぶち
88
大根や柿を干し、豆腐やお餅を干す。鮭や桜エビなどの海産物も干す。食材ばかりではありません。織り上げた麻布を雪にさらし、染め上げた鯉のぼりを干す。書物や骨とう品の虫干し。山小屋では布団干し。日本に残る天日干しの風景の写真集です。どの写真を見ても、その景色の美しさに見入ってしましまいす。そして、干すということは先人たちが残してくれた暮らしの文化なんだなぁ、と気づきます。天日干しは暮らしそのもの。美しい風景の中にも人々の営みがあるんです。天日干しの風景が徐々に消えてしまっている現状は、とても寂しく感じます。2024/02/25
ゆみきーにゃ
83
塩山の隣が地元なので干し柿は当たり前に見る風景。失われつつある風景ってことにビックリ!!新潟県のスキー場のリフトを使った天空米には笑ってしまった。観光スポット間違いナシ!2021/05/28
seacalf
71
『干す』というシンプルなタイトルに心奪われた。既に失われつつある日本の天日干し文化を伝える写真の数々に弥が上にもテンションが上がる。素朴な題材だが日本の原風景を感じて気持ちが高揚する。アートにさえ見える干し柿や藁干し、越後上布雪さらしは必見。スキーリフトを使った天空米や富士山の山小屋の日本一高い布団干しはTVでも見たことあるがインパクトある。食用ほおずきはこないだ食べたばかりだが美味。寒晒しそばもいつか必ず食べたい。寒天や桜海老の写真も食いしん坊にはたまらない。全国にはまだまだ題材はあるはず。続編切望。2021/07/29