内容説明
福井市の南西、南北に細長い谷に四百年前の遺跡が眠っていた。戦国大名・朝倉氏がここ越前一乗谷に五代百年に亘って文化と芸術の華を咲かせた城下町跡である。天正元年(一五七三)朝倉氏は織田信長に滅ぼされ、一乗谷は灰燼に帰す。しかし朝倉義景は、四年に及ぶ戦いの中で信長を苦しめた男だった。本書は敗者の側から歴史を描いている。これまで朝倉義景は、学問芸術にうつつを抜かした凡愚な武将としてしか描かれてこなかったが、平和な時代ならば名君と評価されたはずである。その義景が戦国という時代に何を思い、何を望んでいたのか。そこに勝者の側からだけではわからない人間の哀歓を描くとともに、遺跡とともに埋もれた歴史の実相を探る。
著者等紹介
夢野大志[ユメノヒロシ]
1953(昭和28)年東京都生まれ。1975(昭和50)年横浜市立大学文理学部卒業。1984(昭和59年)司法修習生。実務修習の一年半を金沢市で過ごす。1986(昭和61)年横浜にて弁護士開業。医療過誤や高齢者・障害者問題に重点をおいて活動
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感想・レビュー
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ムカルナス
6
一乗谷朝倉氏遺跡を見に行く予習に。全体的に悪逆非道な信長VS家臣思いの平和主義者の朝倉義景という構図で描かれている。敗者側から見ると義景は副題のように「信長を苦しめた男」であり、平和な時代であれば名君だったというのだが、無理がある気がする。義景の周囲にいた足利義昭や明智光秀、家臣の景鏡等が戦国の世にあって自分の力を誇示し成り上がりたいと考えているのに義景は一乗谷に閉じこもり平和で風流な生活を願う。しかし戦国時代の領主は戦わなければ国を守れない。戦いを忌避し家臣や他者に頼り続けた結果の滅亡ではないだろうか。2017/05/31
m
6
一乗谷朝倉氏遺跡の復習に。信長に敗れた武将としか知らなかったが、見どころのある人物だったみたい。優柔不断なのは微妙だが、時代が違っていたら良き当主になれただろうなぁ。敗者の歴史が面白い今日この頃。次は浅井長政を読もうかな。2016/10/15
いつかはビーエム
1
一乗谷訪問しよう2010/05/05
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