内容説明
昭和十六年一月、浅香丸横須賀港出帆。陸軍技術駐在官としてフランスへ―めまぐるしく戦況が変化するヨーロッパを舞台に、四面楚歌の在留日本人を無事帰国させるべく奔走した著者の真実の記録。
目次
欧州向け「最後の砲艦」
虚々実々のパナマ通過
荒野に兵器の山
フランスへの遠い道
旅路の終り
ドイツ軍の内胄
パリ退去
パリの人間模様
暗黒のパリ脱出
シャンパーニュの空の下〔ほか〕
著者等紹介
桜井一郎[サクライイチロウ]
明治35年11月18日新潟県直江津に生まる。大正9年仙台幼年学校二十一期卒業。大正13年陸士三十六期卒業。陸士工兵少尉任官(京都伏見工兵第十六大隊)後、砲工学校卒業。東北帝大機械科卒業。陸軍運輸部宇品に出向、上陸作戦部隊・暁部隊建設の技術面を担当。大尉の頃陸軍技術本部に帰り、工兵用機材、主としてキャタピラ車輌の装甲機研究に従事。上陸用舟艇のエンジン国産化を目指し、三菱重工をバックアップ。所期の目的を達成する。少佐の頃(昭和16年)独仏戦直後の敗戦国フランスへ技術駐在官として派遣される。十年後の国軍技術陣の充実完成のためのパイオニア、学生長として、基礎技術者の養成受け入れをフランス大学当局との交渉役を委任される。約五年間、パリ、さらに米軍のパリ入城後はベルリンに移り、でき得る範囲での調査を第三国のスイスなどを通じて、日本に送り続けることを余儀なくされる。昭和21年2月帰国。帰国後、米軍トラックなどの修理販売を行なう輸入協会勤務を経て、フォード代理店のニューエンパイヤモーター(株)の技術部長を歴任。小松製作所、極東貿易などの顧問を兼任。平成3年8月3日死去。八十九歳
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