内容説明
革命以前、ムクサルマ島は、厳しい修業の場を求める多くの修道士が居住した、いわゆる隠遁所であった。収容所時代、ソロヴェツキー諸島の数ヵ所に点在する隠遁所は、囚人の牢獄として格好の場を提供し、血と腐臭にまみれた、おぞましい死の実験場と化した。
目次
第1部 牢獄産業(続)(法は成人する;法は成熟する;死刑;禁錮)
第2部 永久運動(群島の船;群島の港;奴隷キャラバン;島から島へ)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
榊原 香織
88
"我々が裁くのは過去ではなく未来である”て、無茶苦茶な・・ 罪状でっち上げでノルマ的に沢山の人々が犯罪者にされた暗黒史。 これ読んでると眉間にしわが出来そう。 ソルジェニーツインはロストフ・ナ・ドヌーで青年時代を過ごす。昨年行った街(ロシアでここだけ) 6巻本の22020/12/06
秋良
4
あまりにも暴力的な人間性の奪い方に、狂気すら感じる。夏バテ気味なので読み進めるのが大変。2016/08/07
mfmf
2
収容所への移送の話とかがメイン。前巻に引き続き、ロシアに人権という文字はない。そして相変わらず諧謔趣味が酷くて読みにくい(ロシア人には伝わりやすいのかもしれないが)。さて、ロシアの時代背景を知るにはおそらく良書で(多分に偏見はありそうだが)、こういう時代だったからこそチャイコフスキーからショスタコーヴィチへとロシア音楽のあり方が大きく変貌したのだなとよく分かる。ミス一つで銃殺、拷問の挙げ句当局のシナリオを読まされて銃殺なので、いかに当局に対して従順でなければならないかというところだが9割運ゲーだろうなぁ。2025/03/01
ELW
1
護送兵・看守連と無頼漢の癒着・依存関係が実に不快。ナチの収容所のカポは生き残るための裏切りだが、ソ連のこれは職業的で気持ちが悪い。輸送先に収容所がなく、到着後、直ちに建設作業にかかるというのは、ある種ローマ軍団的かもしれない。まぁ、ローマ軍団には補給があるが。2024/03/21
高原耕平
1
ひたすら長い。第一部は主に逮捕、取り調べ、裁判を扱っていたが、第二部は収容所までの「護送」が描かれる。ひとたび「群島」のシステムに飲み込まれると、誰であれ人間としてあることが奪われる。しかし動物になるのでもない。2012/09/12