内容説明
ぬまべの村の少年アミとユツ爺さんは、ある日、大沼を漂う不思議なものを見つけた。卵のような形をしたその物体の中には、髪の長い女と生まれたばかりの赤子が裸のままひっそりと寄りそっていた。二人はそれをぬまべの浜へ持ち帰り、明神岬の智恵の洞窟に三百年住んでいるというツモリ老人に見せたところ、その不思議な物体は“うつぼ舟”だという。それは、「大氏」「葛城」「天ノ原」、三つの王朝の勢力をかけた戦いの始まりであった。はたして、“うつぼ舟”とは何か?そして戦いの行方は?古代日本を舞台とした壮大なファンタジー物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
花林糖
13
(図書館本)古事記が元ネタの童話。スズキコージさんの装丁が印象的です。古事記は詳しくないけれど、古代史好きなのでこの世界観はとても楽しめました。古事記を読もうかな。2015/05/16
bb
8
1980年代初版(復刊もほぼ20年前)、古代日本を舞台にしたダークファンタジー。辺境の村に住む少年が、ある事件をきっかけに旅に出て、世界を揺るがす三つ巴の争いに巻き込まれていく…というわりと王道展開。全3巻(未完)の1冊目なのでまだ霧の中にいるような感覚だけど、時代を感じさせない不思議な面白さがある。移動手段が小舟による水路中心であることや、普通ならどっしり構えて少年を導くような立場の老賢者がキーパーソンとして旅に同行して、「わしの判断はこれでよかったのか…」と迷ったりしているのが新鮮だった。2023/12/01
inugamix
3
古事記の編纂当時における史書的側面をとっぱらって、新たに別役版伝説として自由に世界ごと再構成していく感じ。古事記既読だと、語に馴染みがあって世界に入りやすく、うおおあれがこうきたかぁと予想外のあれこれに驚く楽しみもある反面、物語自体を体験してゆくのには邪魔にもなるっていう…。子供の頃になんとなく読んで、長じて古事記を読んだのち再読とかしたかった。2014/05/24
ちょろいも
2
なにこれどうしてみんな知らないの。2011/02/19
直
2
やっぱり別役はなんというか別格。2010/09/26