出版社内容情報
水木しげるの特撰レア作品全12話
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
夢追人009
286
水木しげるさんの初期の貸本・中短編名作選は1960年代に書かれた全12編で、どれもが素晴らしくて選ぶのに迷いますね。今回はユーモアは少な目で大半が時代劇漫画なのですが、水木さんのお化け・妖怪にSFの要素を加味する作風が私は特に大好きですね。『深雪物語』は竹取物語のかぐや姫をSF風にアレンジした著者渾身の力作中編ですよ。今回は軽めの作品を紹介しますね。『聖なる輪』ある山中の村の子供・捨吉の頭上に不可解な光る輪が現れる。やがて頭が異様に大きな武士が農家に訪ねて来て殿の御命令により捨吉に学問を教えに来たという。2021/11/19
あたびー
35
ゴーゴリ「ヴィイ」の翻案「異形の者」・エイメ「壁抜け男」からアイデアを得た「壁抜け男」に始まり、さまざまな意趣を凝らした水木御大の作品集。 中にはメガネで出っ歯の人くらいしかいつものメンバーがでない作品もあり、こういうのもあったんだなぁと。 忍者志願の少年がねずみ男に騙され、次の作品で騙し返す、「忍者無芸帳」「忍者は一度勝負する」は楽しかった。 竹取物語の水木版「深雪物語」も出されるお題のアイデアが鋭い。 何しろ分厚くて読むのが大変でござる。2025/10/27
タリホー
6
「異形の者」はロシアの妖怪話「ヴィイ」を元にしており、後に鬼太郎のアニメで「死人つき」としても放送されている。「忍者無芸帳」と「忍者は一度勝負する」は二つセットの作品で、ねずみ男と忍者志望の少年との仁義無き騙し討ちは必見。長編「深雪物語」は天女の羽衣伝説に『竹取物語』を融合させた話だが、こちらは五人の婿候補が『竹取物語』以上に悲惨な結末を迎えており何とも凄まじい。「妖怪長屋」は1968年の大映製作映画「妖怪百物語」のコミカライズ版で、映画に登場していた妖怪も勿論描かれている。2017/10/05
ささ
2
『壁ぬけ男』『皿』『未完成交響楽』『へびの神』『深雪物語』等12編を収録。まずタイトルの『奇談』の絵文字が魅力的。世にも奇妙な物語的な味わいのある作品が多かったです。水木先生の想像力が楽しい。2025/02/20
山口康隆
2
12篇の短篇を収録。「異形の者」「吸血鬼」「へびの神」は王道の怪談といった感じで読み応えあり。水木流『竹取物語』の「深雪物語」、忍者志望の若者がねずみ男に身ぐるみはがされる「忍者無芸帳」が個人的ベスト。2011/11/28




