内容説明
日本の敗戦による解放後、朝鮮半島は政治路線をめぐる内部の対立に加え、南北に進駐した米ソ両軍がそれぞれ全く相反する政権の育成を図り、緊張状態が続いていた。米軍政下の南朝鮮では、1948年10月、麗水で国軍の第14連隊による反乱が起き、順天まで勢力を拡大、それに呼応して筏橋でも左翼勢力が町を掌握するが、鎮圧軍の前に退却を余儀なくされ、曹渓山に逃れた。そんな中、酒造場の息子で左翼運動に身を投じた鄭河燮は筏橋に潜入、巫堂(巫女)の娘で幼なじみの素花の許を密かに訪れる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
松本直哉
23
人間のためのイデオロギーであったはずなのに、いつのまにか人間がイデオロギーのための道具になるとき、不毛な殺し合いが始まる。日本の敗戦による解放後朝鮮戦争にいたる時代は、この半島で共産主義と反共主義が血で血を洗う争いを繰り広げた。登場人物でただ一人この争いの不毛を悟っている金範佑からすれば、どちらにも味方できないのだが、状況はそのような中立を許さない。悪者探しはしたくないけれども、もしも日本による植民地化がなければ、とつい思ってしまう。韓国でベストセラーになっただけあって文章は読みやすいが内容は暗澹。2022/08/20
てれまこし
8
解放の喜びも束の間、分断に向かう朝鮮半島。幼なじみであり若き知識人同志であった金範佑と廉相鎮は、それぞれ民族統一派のナショナリストと共産党のパルチザンとして対立する。暴力を厭わない廉に金は反対するが、彼らはまた共通の敵と戦っている。対日協力者であった両班地主たちは、解放後愛国者に姿を変え政党を結成し、廉相九(廉相鎮の弟)のようなチンピラを使って政治を牛耳り、左派を弾圧する。冷戦のなか米国がこの後ろ楯になってる。どうやらこれが韓国左派の集合的記憶で、日本、地主ら反動勢力、米帝国主義、後の軍政がつながってる。2026/02/13
Red-sky
6
超大作で読みづらいかと思ったけれど、全然そんなこともなく面白く1巻を読み終えた。登場人物は多いけれど、それぞれの背景を語る描写を挟みつつ物語もちゃんと進行していくから誰かの回想がすごい長くてダレるとかそういうこともない。いまのところ、一族以外で同じ苗字の人が出てこないのもいい。名前が漢字表記なのも助かる。それにしても本巻のサブタイトルはちょこっと出の女性のことだけど、この後重要人物になるのだろうか?共産主義者に家族を殺された者たちが、今度は共産主義者の家族を襲う、負の連鎖が続くのはむごい。2026/02/07
泉を乱す
6
解放後の韓国の歴史2019/12/07
みなみ
3
朝鮮半島の戦後が舞台の大河小説。登場するキャラクターがキャラが立っていて、この行動がこの結果を生み…というエピソードの積み重ねが素晴らしい。日帝解放後の韓国で共産主義活動をする一団が登場するが、彼らの論理(=上層部が悪いのでは無く自分の努力が足りなかったと自己批判に走る)は、会社や社会システムが悪いのではなく自己責任論に走る現代日本と実は似ている。ようは”○○思想”ではなく、全体主義に走るといずこも同じってことだ。2017/01/22




