出版社内容情報
マッドガイド・ウォーターの冬。そこで暮らす小さないきものヤービたちは、春まで長い眠りにつきます。それは、彼らのご先祖と、「氷獣」とが交わした契約のためと言い伝えられています。ところがヤービは、友だちのナミハナアブの幼虫のことが気になり、眠れません。同じころ寄宿学校では、幽霊騒動が持ち上がり……。ヤービたちと人間それぞれに伝わる「ふしぎ」が、彼らを冒険へと誘います。「岸辺のヤービ」シリーズ、第三弾。
内容説明
“氷獣”“雪の兵隊”“さまよえる生徒、うるわし”そして、“はりめぐらされた地下通路”湖沼地帯マッドガイド・ウォーターの静かな冬。そこで暮らす小さな生きものヤービたちとわたしたち人間、それぞれに伝わる「ふしぎ」は、皆を思いがけない冒険にいざないます。
著者等紹介
梨木香歩[ナシキカホ]
作家
小沢さかえ[オザワサカエ]
画家。タブロー画家として活動するかたわら、子どもの本の絵を描きはじめる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Ikutan
69
トリカがモリバトの背に乗って南の国に飛び立ち、ヤービたちは冬眠に入ります。大昔、氷獣と契約したからです。お日さまばんざいパーティの日、デユーさんから氷獣の話を訊いたヤービは、ヨンのことが心配になり雪の中冒険に出掛けます。一方、サニークリーフ・フリースクールはクリスマス休暇。イタドリさんたちは、激しい吹雪のため、地下通路を探索することに。ヤービとウタドリさんとの再会シーンに思わず頬が緩みます。そしてついにヤービは氷獣と遭遇。「生きているものは、みんなさみしいのです」生きものたちが愛しくなるのがヤービの世界。2025/03/30
ぶち
62
マッドガイド・ウォーターにも雪の降る冬がやってきました。南の国に渡っていくのベック族。冬眠するヤービ族。そして、フリースクールでも生徒たちが帰省して、寄宿舎も寂しそうです。そんなひっそりとした冬にどんな物語が待っているのでしょう。表紙の見返しの地図には、大きい人の地下道と小さい人の地下道が描かれています。なにやら秘密めいた匂いがしてきます。あらたな冒険に期待しちゃいます。ワクワクしながら読み進め、優しい気持ちになって読了しました。ヤービの「ぼくはここにいるよ」っていう言葉(ささやき)に感動です。2025/05/04
よこたん
31
“ヤービたちはいつも甘みのためにはハチミツを使っていたので、砂糖というものを見るのははじめてです。でも、それがお茶をおいしくすものだということは、想像がつきます。ワクワクします。” シリーズ3作目もドキドキしながら読んだ。湖の岸辺に暮らす、二本足で歩くふわふわの毛に包まれたハリネズミのような小さな生き物、ヤービたち。ふんだんに盛り込まれた挿絵がまた素晴らしい。ヤービたちの冒険譚を鮮やかに彩ってくれている。もう大好きとしかいいようがない。のどかな暮らしに、世界情勢の影がしのびよる気配もあり、少し切ない。 2025/04/14
びぃごろ
16
【ヤービシリーズ③】季節は移ろい冬に。ドリトル先生とコロボックルを合わせたような、異種間で意思疎通する心躍る物語。小さな生き物は水辺に暮らすカヤネズミくらいの大きさのヤービ族。モリバトに乗って渡りをする人を小さくしたようなベック族。一番小さく毛むくじゃらの犬ような見た目のディーイ族。皆二本足で立って歩くよ。大きな人は寄宿学校サニークリフ・フリースクールの先生、ウタドリさんと庭師、校長、寮母、料理人さんなど。ヤービと話ができるのはウタドリさんだけだけど。嬉しいけど悲しくなるとか…このシリーズは買い揃えたい。2025/04/30
takaC
13
久しぶりのヤービ新作。二重・三重の幸せを味わえた2025/03/20