出版社内容情報
植物といえば、緑色の葉っぱを思い浮かべますよね。それは、緑色の色素があるからです。この色素があることで、多くの植物は光合成をして、日光から栄養を作り出すことができるのです。ところが、この色素を持たず、キノコなどの菌を「食べて」生活する植物たちがいます。光合成をやめた植物たちは、色や形も風変わりなものばかり。彼らのちょっと変わった生活をご紹介します。
内容説明
光合成をしない!?奇妙な植物たちの、ちょっとずるい生存戦略。小学中級から。
著者等紹介
末次健司[スエツグケンジ]
1987年、奈良県生まれ。2010年、京都大学農学部卒業。2022年より神戸大学大学院理学研究科教授。同大学高等学術研究院卓越教授を兼任。専門は、日本の生物多様性を活かした植物、菌類、昆虫のナチュラルヒストリーの研究。主に、光合成をやめた植物である「菌従属栄養植物」の生態を研究し、「キリシマギンリョウソウ」や「妖精のランプ」と呼ばれる「コウベタヌキノショクダイ」など、多くの新種を発見(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
☆よいこ
83
分類471。たくさんのふしぎ傑作集。「植物」をやめた植物=光合成をやめた植物「菌従属栄養植物」▽光合成をしないので緑以外のカラフルなものが多い。[①キノコを食べる]キノコと光合成をする植物のネットワークに横入りして、キノコの菌糸を消化する[②花粉の運び方]自家受粉。キノコに依存する[③種の運び方]昆虫に食べられる▽最初キノコのことかと思って手に取ったら、キノコに寄生する植物だった。ギョリンソウの名前くらいしか知らんかった。新種を発見したいなら穴場グループらしい。2023年発行2025/03/14
サンダーバード@永遠の若者協会・怪鳥
69
(2025-40)【図書館本-28】児童書だったけど、なかなか面白い。通常の植物は「光合成」を行い、太陽光と二酸化炭素から必要なエネルギーを作り出す。だがそれをやめて、他の植物に寄生することによって栄養素を摂取するように進化した植物がいる。私はギンリョウソウくらいしか見たことが無かったけれど、こんなにたくさんの種類がいるのを知って驚いた。光合成をやめて他人に寄生することにより、光の当たらない森の奥深くでも生育できるようになったこれらの植物たち。これは果たして進化なのか、生存競争からの逃避なのか?★★★+2025/03/15
たまきら
39
読み友さんの感想を読んで、楽しみにしていた一冊です。自分の力で栄養分を合成することをやめた菌従属栄養植物を紹介している写真絵本なんですが、すごい情報量で感激しました。ギンリョウソウぐらいは知っていましたが、後はすべて初見で、生態だけでなくなぜそのように進化したのかに俄然興味がわきました。表紙のホシザキシャクジョウをはじめ、魅力的な姿にも惹かれます。種の媒介者など、最新研究が盛り込まれた素晴らしい内容でした。続編期待!2025/02/22
今庄和恵@マチカドホケン室/コネクトロン
20
「植物を植物たらしめているものは何か」と尋ねられたら答えられますか?私は答えられませんでした(恥)。答えは光合成です。酸素を生み出すことができなくなった植物は寄生するしかなくなります。自立から依存へと生き方を変えることでどんなメリットがあるのか、いやあ、これは人間も参考にしたらいいのではと思わされました。2025/03/31
竜王五代の人
14
普通の商売とボッタクリやサギが連続しているように、共存共栄の植物と菌の共生関係から、菌から栄養を騙しとるだけの寄生へとシフトした森の詐欺師たちの絵本。繁殖するために花を付ける時以外は地上に姿を見せる必要がないから目立たない、っていわゆるキノコ(子実体)と一緒ではないか。寄生で割り切ると、生態変わってしまうものだなあ。理論的なところは「森を食べる植物」も共に。2025/02/16