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出版社内容情報
女性私立探偵・劉雅弦の元へやってきた女学生・葛令儀。彼女は劉に、友人の岑樹萱を見つけてほしいと依頼する。劉は調査を始めるが、岑樹萱を深く知っている者は、一人もいなかった。さらに劉は調査の中で死体を見つけ、殺人容疑で警察に逮捕されてしまう……
内容説明
1934年、中華民国。女性私立探偵・劉雅弦は、葛令儀という女学生から行方不明の友人・岑樹萱を探し出してほしいという依頼を受ける。樹萱の父親が借金を抱えたまま消えたことを突き止めた雅弦は、調査中に謎の男に襲われてしまう。刺客を仕向けたのは、令儀の伯父で地元の大物である葛天錫だった。天錫はなぜ雅弦を妨害するのか。そして、令儀による依頼の真の目的とは。友情、恋慕、哀憫。錯綜する人間関係の中で、雅弦は耐え難い悲劇を目の当たりにする。ロス・マクドナルドに捧げる、華文ハードボイルドの傑作。
著者等紹介
陸秋槎[リクシュウサ]
1988年北京生まれ。復旦大学古籍研究所古典文学専攻修士課程修了。在学中は復旦大学推理協会に所属。2018年に“読者への挑戦”が二度挟まれた本格ミステリ『元年春之祭』で年末ベストテン上位を席捲し、高い評価を得る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
雪紫
65
中国に行ったことないのに(しかも1930年代)読んでると光景が頭に浮かんでしまうのは何故なのか。主要人物大体女性のハードボイルド探偵物(やはり若竹さんも参考なのね)。地道に、淡々と、でもハードボイルド。この作者だからこそ期待してしまう百合要素は控えめながらも、ヒュッと出て来るので破壊力は高め。色々複雑な感情やまっすぐさ、強さが見えるの・・・いいね。2024/10/18
cinos
58
1934年頃の中国が舞台ですが、日本では昭和9年頃になります。女探偵が令嬢の依頼で失踪した友達を捜しますが…。膨大な比喩と観察者としての探偵、まさにロスマクの世界で、よかったです。名前も劉(りゅう)だし。ラストクイーンを思ったのは私だけ?シリーズ化希望!2024/10/10
オーウェン
51
1934年の中国。 女探偵の劉雅弦に持ち込まれた人探しの依頼。 その岑樹萱だが死体を発見したり、殺人容疑で誘拐される身に。 劉雅弦は探索すると追っ手を差し向けられ命の危険が。 これは完全にハードボイルドの世界であり、女性が主役というのがポイント。 事件の解決までは二転三転で面白かったが、その後が蛇足のように感じてしまった。 2024/09/11
しゃお
35
1930年代の中国を舞台にした探偵小説。謎解きミステリでは無く、地に足がついたハードボイルドの王道のような物語。主人公の女私立探偵の決して過度には描かれないながらも、自分自身の道を歩む姿がなんとも凛々しくも魅力的。行方知らずに少女を探した果てに浮かび上がる真実と少女たちの心の内はどこか物哀しくもあるけど逞しさも感じとれて良かった。この時代特有の風俗や考え方、富裕層かた貧困層までの描かれ方も雰囲気が出ていて読み応えあった。また彼女の物語、読んでみたい。2024/09/03
よっち
33
1934年の中華民国。女性私立探偵・劉雅弦の元へ友人の岑樹萱を見つけてほしいと女学生・葛令儀から依頼が来るミステリ。樹萱の父が借金を抱えたまま消えたことを突き止めたものの、調査中に謎の男に襲われてしまう雅弦。令儀の伯父で地元の大物でもある葛天錫はなぜ調査を妨害するのか。樹萱を深く知っている者は一人もおらず、さらに調査の中で死体を見つけ殺人容疑で警察に逮捕されてしまう展開でしたけど、当時の中国情勢や文化を感じさせる描写の中で、いかにも私立探偵らしいふるまいの雅弦がたどり着いた意外な結末が印象的な物語でした。2024/09/05