内容説明
広島で生れ、戦争の辛苦を経験し、終戦の年、十五歳までを日本で育った朝鮮人の著者に、母は、“民族の誇りを持って生きよ”と教える。日本への愛憎を胸に、祖国への愛にも目覚めはじめるさまを描く、躍動的な自伝。坪田譲治文学賞、産経児童出版文化賞・JR賞、野間児童文芸新人賞受賞作。
目次
私のルーツ
キマちゃんだったころ
一年生
岡広先生
桃源郷
江田島小学校
終戦と帰国
著者等紹介
イサンクム[イサンクム]
李相琴。1930年、広島県に生まれる。1955年、ソウルの梨花女子大学教育学科を卒業。のち、同大学大学院修士課程、延世大学大学院博士課程を修了。1987年、お茶の水女子大学学術博士学位を取得。1957年以降、母校梨花女子大学の教壇に立ち、1995年に定年退職。現在同大名誉教授。ロサンゼルス在住
帆足次郎[ホアシジロウ]
1924年、大分県に生まれる。東京芸術大学美術学部油画科卒業。札幌在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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絵本専門士 おはなし会 芽ぶっく
19
広島で生まれ、戦後15歳で韓国に戻った著者が、当時日本で過ごしていた日々を書いてます。日本には当時このような人々がたくさんいたんですね。国際交流にはそれぞれの誠実さが必要だと思います。2021/08/25
tellme0112
11
「この世界の片隅に」には入りきらない物語を探して、この本を手にした。キマちゃん、何度も命の危険がありながら生きた。ハラハラした親の気持ちを想像する。あたたかな気持ちになる。…創氏改名の旧正月の場面、和気あいあいとした会話に、すごく痛みを感じる。お祝いして楽しそうにしてるだけに2021/09/02
スターライト
7
戦前に日本に来た朝鮮人(韓国)の両親を持つ日本生まれのキマちゃんが体験した小学校での日々が綴られる。寡黙で真面目だけが取り柄の父、子どもを育て収入の少ない夫だけでは支えられない家計を必死に守り抜く母。差別に遭いながらも理解のある先生たちに恵まれ、母の決断で引っ越しを繰り返しながらも母から教えられる朝鮮人としてのプライドを持ってたくましく生きていくキマちゃんの姿には胸を打つ。戦前の朝鮮人が置かれた厳しい状況、というよりあまりにひどい朝鮮人差別と労働力・戦力に都合よく朝鮮人を酷使する戦前の政策には怒りを覚える2024/04/17
菱沼
4
今年6年生になる子へのプレゼントにどうかと思って読む。地味な書き出し、かつての学校生活。理不尽な差別。日本で生まれ、朝鮮の言葉もよくわからなかった少女のふるさとは日本。そして祖国は朝鮮だった。母親は「朝鮮ファースト」なのではなく、自分が何を大事にして生きるかを知っていたのだろう。「大事なもの」を持ち、それに誠実であり続けることの大切さがよくわかる。2021/03/02
ゴ
4
昔、日本にこのような人が沢山いたことは驚きでした。日本がしてきた事は本当に痛ましく考えさせられます。中国、韓国、朝鮮、日本、もっとお互い仲良くしていきたい。そう強く思いました。2016/12/13
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