内容説明
障害児学級教員の岡田は、働いていた小学校の卒業生・牧野に出会う。自分が受け持っていた自閉症児サトシを殴った過去を持つ牧野だが、彼につきまとわれて、岡田は毎週彼と酒を飲むことになる。が、ある日牧野は突然暴漢に襲われる。物語にひそむミステリー性も話題になった、第24回野間文芸新人賞受賞作。
著者等紹介
佐川光晴[サガワミツハル]
1965年東京都生まれ。北海道大学法学部卒業。出版社に1年間勤務した後、食肉処理場で働く。2000年、『生活の設計』(新潮社)で第32回新潮新人賞を受賞して小説家デビュー。2002年、『縮んだ愛』で第24回野間文芸新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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toshi
72
2002年の野間文芸新人賞受賞作。変わったタイトルなので、この本を選びました。主人公は障害児学級(現在の特別支援学級)の教諭。この作品は夫婦のすれ違い、障害児との触れ合い方等、様々なテーマが凝縮されています。ですます朝の語り口はソフトな印象を受けますが、その奥にはかなりのペーソスとペシズムが内在しております。私は磯崎憲一郎氏の芥川賞受賞作の「終の住拠」を少しイメージしました。ラストは賛否両論あると思いますが、私はモヤモヤしてしまいました。果たして事件の真相はどうなのでしょうか?2025/02/09
takaC
26
やっぱり難しかった。というか、そういう本なんだと割り切るのが正解(?)か。2013/04/28
にせものばかり
7
不思議な読後感でした。なんだかすっきりしないなあ(笑2014/03/11
FUKUIKE
3
★★★☆☆ 最近ハマった佐川光晴氏!この作品はこれまで読んだ2冊ほどの面白さはなかったものの、優しい文章で読みやすかった!2025/02/06
Ichiro Toda
2
読んでいる途中から横光利一の"機械"を思い出し、あたってはいないものの遠からずな読了感を得た。社会との関わりという観点から障害者を描き、あちらがわとこちらがわを隔てる壁のようなものは実は透明ですらなく、壁ですらもないというようなことを思った。社会というものはあくまでも人間が共存するために構築されたシステムなのであり、そのシステムの上にいかに早く行けるか、またそれにどれだけ大きな影響を与えられるかなどという競争を目的とするものではない。まあそういう話ではないと思うのだが、読んでいる途中に色々思索に耽った。2016/07/11
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