内容説明
六十年、河童は待っていた。二度と帰ってこない友だちを。再会した河童の八寸と少女、麻は記憶の中を旅することに。
著者等紹介
朽木祥[クツキショウ]
1957年、広島市に生まれる。被爆二世。上智大学大学院博士前期課程修了。正編『かはたれ―散在ガ池の河童猫』(福音館書店)により、2006年、第三五回児童文芸新人賞、第三九回児童文学者協会新人賞、他受賞。鎌倉市在住
山内ふじ江[ヤマウチフジエ]
1946年、栃木県に生まれる。東京藝術大学油絵科卒業。神奈川県在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ぶち
86
『かはたれ』から4年後、八寸が戻ってきました、猫の姿ではなく河童の姿のままです。麻やチェストタンと再開できたことは楽しいのですが、今作のお話は"寂しさ"に満ちています。とても親しくしていた人が帰ってくるのを60年間も待っていた不知の寂しさ、麻の寂しさ、八寸の寂しさ、チェストタンの寂しさ…… 寂しさと寂しさが寄り添って優しさが生まれ、それが奇跡をおこしました。美しい音楽が奏でられているような心安らぐ奇跡です。校長先生のスピーチにも心打たれました。あの戦争のことを決して忘れてはいけないのだと思いました。2024/05/05
はる
73
「かはたれ」の続編。前作から4年後、河童の「八寸」は再び人間の住む街へ。六十年間、帰らぬ友を待ち続ける河童の「不知」を連れ戻すため…。不知の一途な想いが切ない。一方で、成長した少女・麻と、音楽好きな河井君とのやりとりが爽やか。純粋なふたりのやりとりがいい。過去への追悼と若々しい未来の対比。朽木さんの描く世界は硝子のように儚く美しい。2017/08/28
たか
62
『かはたれ』の続編。不知と司青年との魂の繋がり。八寸と麻の絆。麻と河合君の友情。 誰でもみな、心の中に寂しさを抱えて生きている。そして、寂しさと寂しさが寄り添うところに、優しさが生まれ、その優しい心が奇跡をおこす。 『児童書』としてではなく、大人にこそ読んでもらいたい心温まるファンタジー。C評価2018/06/17
ミーコ
62
「かはたれ」の続編なので、早く読みたく思っていました。八寸 いつ麻ちゃんと会う事が出来るのかと、ヤキモキ・・・ ようやく会えると今度は 不知を早く司さんに会てあげたくてウズウズ・・・『独りばっちで待ちつづける六十年は河童にとっても長い長い年月にちがいない、不知は、ずっと待ちつづけているのだ。二度と帰ってくるはずのない友だちを』と言う所で、私も胸を討たれました。最後の最後に起こせた奇跡、自分事の様に嬉しく感じました。今回も描か又いい・・・朽木さんの物語って優しい気持ちになれます。また読んでみたくなりました。2016/09/20
ゆきち
61
「かはたれ」の続編。八寸と麻がひと夏を過ごし、別れ別れになってから4年後のこと。学校のプールに60年前から住み着いてる不知を連れ戻してくるよう長老河童に言われ、再び麻のいる町へ。60年とはとても長い年月だけど、河童にとっては6歳、歳を重ねただけのこと。年月は経っていてもまだ6年…。霊力がとても高く気高い不知がなぜ、学校のプールに住み着くようになったのかを八寸と麻は知り、不知の心を救ってあげたいと奮闘する。60年前の不知が居たのは戦時中のこと。とても辛く悲しい、そして、優しい不知の想い出が心に沁みた。2017/11/19
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