内容説明
河童のこどもがやってきた、小さな猫に姿を変えて!小学校中級以上。
著者等紹介
朽木祥[クツキショウ]
1957年、広島市に生まれる。被爆二世。上智大学大学院博士前期課程修了。2002年より児童文学の創作を始める
山内ふじ江[ヤマウチフジエ]
1946年、栃木県に生まれる。東京芸術大学油絵科卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ままこ
94
序章から叙情的な情景が鮮やかに浮かび上がる。天涯孤独の“河童猫“八寸と、母親を亡くし心を閉ざし気味な少女麻の成長物語。八寸が失敗しながらも、物事に真摯に向き合い必死に考える姿は健気でいじらしい。臆病なチェスタトンが活躍するクライマックスは躍動感溢れ感動的だった。じんわり温かい余韻が残る終章。心の葛藤や機微が丹念に描かれた、大人も楽しめるユーモラスで瑞々しいファンタジー。面白かった。2022/08/14
ぶんこ
78
緩やかな感動に浸っています。河童が猫になって人間世界に行ってみたら・・優しくて繊細な少女(麻)に保護されて、落ちこぼれラブラドールとも友達になって、危機を回避。何を美しいと思うのか?猫が河童に見えるのは、自分がおかしいのか?母を亡くし、自分の価値観、物の見方に自信を無くした麻ちゃんが、八寸とチェスタトンに癒され、父親からのメッセージで立ち直っていくのが嬉しい。八寸が月の光を浴びている姿、麻ちゃんや陶芸家を感動させたとは、私も見たくなりました。異質なものへの拒否ではなく、受けいれる柔軟さが素晴らしい。2016/01/01
ミーコ
62
とても、暖かい気持ちになれました。1人ぼっちになってしまった河童の八寸。ネコに姿を変えて 麻ちゃんちに住みつく・・・のだけど 約束事が有るのに。。。 優しさから麻ちゃんが身体を洗った途端 河童の子供の姿にー。ポロポロ涙を溢して泣く姿に、こちらまで涙が出て来ました。麻ちゃんの亡くなったお母さんの『動作や反応が人よりゆっくりだったり、静かだからって、それでいじめられなきゃいけない理由はないでしょ。それも個性なんだから』の言葉にジーンと来ました。とっても良いお話でした。山内ふじ江さんの絵も素敵でした。2016/09/06
はる
57
母親を亡くした少女の家に迷い込んだ一匹の子猫。実は一人ぼっち河童の子が姿を変えたものだった…。静かで優しい物語。寄り添ってくれる人を喪い、周りから距離を置いてしまう少女の、静かな悲しみが切ない。そんなときに現れた不思議な猫と、飼い犬との触れ合いに癒される様子が微笑ましい。クライマックスはちょっとハラハラしてしまうけど、ラストは爽やかで良かった。素敵な作品。2015/12/06
鈴
50
カバーイラストの寂しげな河童の姿に惹かれて。最初の数十ページは話に乗れず、読まずに返却しようかとまで思ったが、河童の八寸が修行に出る辺りから、読まずにはいられなくなった。家族が行方不明になって一人ぼっちになった河童「八寸」と、お母さんを亡くした少女「麻」と臆病な犬「チェスタトン」の温かいお話。続編もあるようなので、ぜひ読みたい。著者は「八月の光」を書いた朽木さんだったんだ!2017/11/01